TAKE２ 縁側にて ページ3
中庭に面した本丸の廊下で、審神者と歌仙兼定が風鈴の音を聞きながら涼んでいた。
お面の隙間からストローで麦茶を飲む審神者に、頭を抱えた歌仙兼定が言った。
「雅さの欠片もない」
「外したくないんでね」
「っていうか君、昨日は抹茶もそうやって飲んでたよね？！」
「記憶に御座いません」
まったく……と言葉を続けようとした歌仙兼定の背中の向こうを見た審神者は、「うげ」と言ってその場から離れようとした。歌仙兼定は後ろを振り返って納得した。
視線の先にいたのはにっかり青江で、審神者を見つけるとにっかり笑って近づいてきた。
「おやおや、今日も暑そうなお面を付けているねえ」
「真夏にブーツ履いてるお前の方がよっぽど暑そうにみえるだろうよ」
喧嘩上等とばかりに食って掛かった審神者に注意する気力もないのか、歌仙兼定は自分の手元にある温くなった麦茶の入ったグラスを見つめている。
「そのお面、取ったらもっと涼しくなるんじゃないかな」
「丁重にお断りさせていただきます」
「え？喜んで？」
「お断りします、よっと！」
「ぐっ」
審神者に脛を蹴られたにっかり青江は少し呻いた。
しかしすぐにいつもの調子に戻り「おやおや、乱暴だねえ」と言った。
先週、やっと馬当番の刑が終わったというのに、にっかり青江は昨日も審神者に馬当番の刑をくらった。今回は一か月半である。
「ああもう、オマエモそんな暑っ苦しい長袖なんか着てないで、Tシャツにでも着替えた方が、よっぽど……」
青江派共通の真っ青なジャージのファスナーを開いた審神者は、コンマ一秒でそれを閉めた。
そしてにっかり青江は混乱する審神者を見てこらえきれずに噴き出した。
「ぶふっ」
「なんでお前なんも着てないの？！」
必死に笑いをこらえるも引きつった笑い声を押さえきれないにっかり青江と慌てだす審神者の横で、暑さに参ったらしい歌仙兼定が地を這うような声で言った。
「静かにしてくれ……頭に響く……」
審神者とにっかり青江はきゅっと口をつぐみ、顔を見合わせた。
そして縁側に散らばる団扇やら麦茶の入ったコップやらを手に持ち、にっかり青江はそそくさと去っていった。
「お前さっさと部屋に引っ込んで扇風機の前で涼んでろ。あとで冷えピタとポ○リ持ってくるから」
「了解したよ……」
自室に戻っていった歌仙兼定が無事に廊下を曲がっていったことを確認した審神者は、台所へ向かった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 42人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いなほん(プロフ) - 最゛高゛で゛す゛……!!!!素敵なにっかりさんをどうもありがとうございました！ (2016年12月4日 17時) (
レス) id: eb5ee429dc (このIDを非表示/違反報告)
新鮮な鉛筆(２B)(プロフ) - 拳銃さん» すみません、御指摘ありがとうございます。次のお話で、書き方を変えてみます…。 (2016年9月16日 21時) (レス) id: 873a9a633f (このIDを非表示/違反報告)
拳銃(プロフ) - もう少し間を開けた方が読みやすくなりますよー。はっきり言ってこれ読みにくいですね。二、三行で良いので間隔取ってくださいね(´-ω-`) (2016年9月15日 23時) (レス) id: d214872701 (このIDを非表示/違反報告)
ルサルカ(プロフ) - 新鮮な鉛筆(２B)さん» ありがとうございました！電車の中なのにニヤケちゃいました！www更新のんびり待ってるのでのんびり頑張ってくださーい！応援してますw (2016年9月9日 19時) (レス) id: 2218d295b6 (このIDを非表示/違反報告)
新鮮な鉛筆(２B)(プロフ) - ルサルカさん» 「待つ」ですか、リクエストありがとうございます！また時間が開いたら書かせていただきますね。 (2016年9月4日 8時) (レス) id: 451b47dddc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：新鮮な鉛筆(２B) | 作成日時：2016年8月10日 13時
