君は知らない 4【H×H】 (ページ29)

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今日がイルミの元からクロロに引き渡される日だった。
全員に数日ずつしかあってないから、たらい回しにされる荷物の気分だ。
私は少しか荷物の入ってないリュックとキャリーを持つ。
このリュックとキャリーに入らない荷物はヒソカとイルミが持っている。ヒソカは快く、イルミは渋々預かってくれた。

ホテルのロビーまで行くと、既にクロロはいた。
彼は、本を足を組みながら読んでいた。
数人の若い女性が彼の美貌に見とれ、去っていく。
幸いにも、ここは高級ホテルで客層も良いため、見ている限りではクロロが話しかけられるようなことは無かった。

「ああ、来たな。」

「これでやっとおさらばだ、清々するよ。」

「……ひどいな。言うけど、まだまだ弟子でも友達でもいるつもりだからな。」

分かっていたがイルミの毒舌がひどい、私は非難するような目で彼を見た。
しかし、やっぱりイルミはそんなの知らないとでも、こちらに目も合わせず、クロロとだけ話す。

「その分にはいいよ。近くに居るのが鬱陶しいってこと。お前は価値があるからね、手放すのは惜しい。」

私はそう言われて複雑な気持ちになる。
先日のヒソカのときのような気持ちだ。
でも、すんなりと友達の部分までいいよと言われたのは嬉しい。
まあ、もう諦めただけかもしれないけど。

「お前がそこまで言うとは。どのくらいの価値がある?」

クロロがイルミの発言に興味を持ち、聞いた。

「ゾルディック家の人間よりはあるね、価格上。Aの特性と念は付与すれば、大体のことは出来る。こいつが生け捕りにしやすかったら、価値は大分落ちたはず。だけど、こいつの念の一つが特性と噛み合いすぎて絶対に捕まらない。市場に出したらどれだけの値がつくか、クロロでも予想できないと思うよ。前例が無いからね。」

「ほう、暫く暇することは無さそうだな。」

頭上でされる会話は酷く非人道的だった。
畜生!! 私だって人間なんだぞ!! 値段計算するなよ!!
二人が怖いので、言葉には出さなかったが、無意識に私は眉を潜める。

「じゃ、そういうことで。俺は戻るよ。」

イルミは何の感傷も無く私と別れようとした。いや、さよならぐらいさせろよ、しろよ。

「イルミ、またな。」

「…………またね。」