君は知らない 4【H×H】 (ページ26)

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ヒソカからイルミに引き渡された私は軽く荷物をまとめていた。
既に、イルミから今後も続けようと思っている毒の耐久、それの簡易的なやり方。
そして、この世界の常識の勉強に役立つ書籍などを教えて貰い、後はもう旅立つだけ。
そんな時に、事件は起こった。

「おい!!イルミ!!!」

夜遅く、イルミが口から粘着質な血をボタボタ流しながら帰って来た。
イルミは苦しそうにゴホゴホと血の混じった咳をしながら、覚束ない足取りでさっきまで私が座っていたソファにたどり着いた。
こんなイルミは初めてだ、彼がここまで苦しんでいるなんて。
私は直ぐ様大きめの容器に入れた水とタオルを持ってきて口の辺りを吹いた。
タオルは一瞬でピンク色に染められる、容器の水もだ。
彼はこのような状況にも拘わらず、私のした行為に眉を潜めて嫌そうにする。

「イルミ、何があったんだ!?」

「煩い。」

「それは質問に対する回答じゃない！言うまで、私はしつこく聞くからな！」

「………毒だよ。俺の許容ｺﾞﾎｯ以上の毒が盛られていたっぽい。」

彼はゴホゴホ口から血を流しながら、濁った声で受け答えする。
私はそのイルミの姿を見て、一瞬口元を拭く手が止まった。
イルミも人だ、だからこんなこともあるだろう。
でも、私の印象ではイルミはこんな状態になるような奴じゃなかった。
イルミは平坦で、冷酷で、家の事だけを考えているやつ。
だから、この非常事態に私は混乱していた。
あの、強い、イルミが、苦しんでいる、なんて。
私は混乱で彼は原作まで死なないことを忘れていた。イルミが死ぬかもしれないと漠然と思っていた。
………、あぁ、そうだ、私は死なない。
だから、代わりに成れば良いんだ。
私の異常事態で回路がこんがらがった頭はあり得ない結論を出した。
もし、これがイルミやヒソカ等のハンターのキャラ出なかったら、もし、私が不死でなかったら、もし、私が混乱していなかったら、結論は全然違うものになっていたであろう。
しかし、私がこう結論を出し、即座に行動出来る条件が偶然にも整っていた。
私は、この回答が正しいものか精査することもなく、反射で手を伸ばした。
イルミに手が触れ、無許可で念を発動した。
弱っているイルミはその不意打ちに対抗することが出来ず、呆気なく念を掛けられた。
恐らく、私が彼に危害を加える可能性を考慮して無かったこと、私に殺気が一つも無かったこと、それがこんなことを出来た要因だ。