君は知らない 4【H×H】 (ページ25)

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ヒソカに言われて自分の表情を知ってしまった私は,直ぐに表情を取り繕った。
でも、私は上手く表情を作れて無いだろう。

だが、私には取り繕う以外の選択肢など無かった。
もっと素直でかわいい女の子ならこの機に、彼に弱さを見せて擦り寄って慰めて貰っただろう、もっと強かな女だったら「友達なんだから。」と無理を言って話を聞いてもらって女らしさをアピールしただろう。
でも、言ったとことで彼をどうこう出来る程の要素を私自身では持ち合わせて無かったから。
私はヒソカの正体を知っているし、ヒソカがご機嫌伺いする理由も無い。
どうせ、何も良い事は返ってこない。
しかし、この考えは私個人のもので、もしかしてヒソカの反応は違うかもしれない。
でも、私はやっぱり奇跡を信じて、彼にどうこう言おうという気は無かった。
それが情けなくて、悲しくて、隣に立っていることが烏滸がましすぎて、こんな思考の私が嫌で。
私の思考は様々な自己嫌悪で自分でも分からない程になっていた。

「何でもないよ。」

こう言えば空気の読めるこいつは関わって来ない筈、だってどうせ突っ込むほど私達の関係は良いものではない。
"契約"によって結ばれたものなんだから。契約を無効にすれば、相手の同意が無くなれば、破綻、全てが無に帰す、強固でありながら儚い一面を持つ関係。

「言いなよ♣️」

「え?」

「だから、言いなって♦️」

私が言いたくないことを察している筈なのに彼は私の誤魔化しを暴こうとしてきた。
なんで、なんで、私の内面に興味があるようなこと言うの? 止めてくれ、もっと、もっと虚しくなるんだから。
私の知ってるあんたは人間を玩具にしか思ってない殺人鬼なんだ。こんな時に私を優しくしないでくれ、自分が玩具じゃ無いように勘違いしてしまう。

「……………嫌だ。絶対に嫌だ。」

「…君は時々強情になるね♠️ 今日は僕も空気を読んであげる♥️だから、部屋に戻りな♣️」

私の明確な拒否に彼はそれ以上は追求をしようとはしなかった。
私が本当に言いたくないことは何が何でも言わないとわかっていたのだろう。
私は彼に促されるまま部屋へと戻っていった。