嫉妬と理性【及川徹】

第35話 相互 ページ35

意を決して、｢俺は｣と言ったところで
急に全身が熱くなった。

本人を目の前にしてそのセリフを言うのは
ドア越しとは、話が違う。


俺からする初めての告白だから。


しかし、だからこそ今、
ここで言わなければならないと思った。








｢____Aちゃんのことが好きです。｣






｢私も｣
っとAちゃんの唇が動く。


｢及川さんのことがすきです。｣





Aちゃんと目が合えば

キスしたい。と浮かんだ。




前から1人では思っていたが
それを2人共有出来たのは
これが初めてだ。




そこから先は自然と体が動いていた。

Aちゃんの肩に手を置き
首を傾けて、唇を寄せる。



彼女が目を閉じたので
その顔を見ていたくもあったが
俺も目を閉じた。


彼女が避けなかった事も嬉しかったが
それよりも、

キスってこんなに幸せなものだっけ?
って感じた。



それが、
Aちゃんとの初めてのキスだからか、

Aちゃんにとってファーストキスだからか、

ただ単に相手がAちゃんだから……



なんだろう、｢この人だ｣って思った。




いつまでもそうしていたかったが
Aちゃんの肺活量が心配で
1度唇を離す。



キスを終えて、はにかんで見つめ合う。



幸せだな……。

第36話 盲目→←第34話 進展

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す