第一章 1-1 ページ2
『こいつアウトォォォオオ！！』
「！？」
不意に大きな声が聞こえてきた。眠りについていたAは思わず飛び起き辺りを見渡す。
そんなAにいち早く気付いた少女が声をかけた。
「あ、A。起きたんだ！おはよう」
「あぁ……おはよ、リナ」
リナ。本名、リナリー・リー。
長い黒髪をツインテールにした彼女はエクソシストであり、年下ながらしっかりとした人物だ。
Aの返事を聞いたリナリーはある方向へと目線を移す。いや、戻すといった方が正しいのだろう。その行動につられるように首を動かし、目線を合わせる。
そこには外の様子が映し出されており、一人の少年の驚いた顔が見えた。
『え！？』
『こいつ呪われてる…アウトだアウト！』
『ペンタクルはアクマの印…』
額のペンタクル。
確かにその少年の額には、逆さのペンタクルが刻まれていた。
「あの子、クロス元帥の紹介で来たらしいんだけど何か知ってる……わけ無いか。ごめん」
「うん、師匠とはしばらく会ってないしね」
クロス元帥の弟子であるAに尋ねてみるものの、しばらくの間彼との連絡を取っていないことを知っているリナリーはあろうことか、Aの返事を聞かないまま結論を出してしまっていたのだ。
『千年伯爵の仲間ぁ…カモだぁぁぁ』
「なにぃーー！？」
そしてそんな言葉に同意し笑みを浮かべるAだが、あの少年を知っていた。
多少成長しているものの、以前の面影がある懐かしい姿を見て、「アレン、か」と小さく呟いたそれは門番の叫びやこの場にいる者達によって搔き消され誰に聞かれることもなかった。
「おい場内のエクソシストは…」
「大丈夫じゃ」
「神田がもう着いたわ」
リナリーがそう言った通り外には刀…否、イノセンスを持った男の姿が映されている。
『一匹で来るとはいい度胸じゃねぇか』
『ちょっ、ちょっと待って！何か誤解して…』
神田と呼ばれた彼は睨みをきかし、少年の発言を無視して斬りかかっていった。少年は咄嗟にイノセンス、所謂対・アクマ武器を発動させガートするが、腕に傷がつく。
「A？どうかした？」
「くっ……いっいや、別に」
「そう？」
第一章 1-2→←簡単な設定 ※読まなくても問題なし 2018/10/23修正
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