【合作短編集】総統閣下に忠誠を誓えよ【後半】 (ページ2)

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アルコール度数の低いお酒を呑んでいた私は鬱の言葉によってそれを吹き出しそうになり、急いで口元を抑えた。

｢高校の時、Aちゃんとその彼氏見かけててん｣

高校の時の彼氏、彼氏、彼氏...？
誰だろうと記憶を遡っていれば、とある先輩の顔がパッと頭に浮かんだ。

『あー...シャオロン先輩ね』

シャオロン先輩ことシャオくんは唯一ちゃんとその人そのものを好きになった彼氏で、正直ずっと一緒にいるつもりだった。
結果的には、私が県外の大学に行ったことで始まった遠恋が上手くいかなかったのだけれど。

｢俺と真逆のタイプすぎてちょっとへこんだもんな｣
『はいはい』
｢ほんまやのにー！｣

鬱の言葉につい口角がゆるみはじめるが、今更告白だとかするつもりはないし、敢えて酒を煽った。

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｢正直俺、今日の彼氏見た時似てるなって思った｣

『なにが』

｢雰囲気が、俺に｣

あーね、うん、気のせいやろ、とかなんとか言う声が震えていないことを願う。
バレてしまったか、いや、もしかしたら、ワンチャン、なんて。

充分にお酒が回っていたはずの頭が一気に冷えていき、それから心臓がドキドキと音を立て始めた。

｢あー俺最近女の子と仲良くするん辞めてん｣
『え、なんで』
｢本命が、おるから、って言うか｣

どうして神様はこうも意地悪なのでしょうか。

上げて落とすなんて酷いですよ。