悪役令嬢、魔王目指しま〜っす。

第二話。 ページ3

使用人は散々私に罵声を浴びせると、ミルクの入った哺乳瓶を私に投げつけ、帰っていった。


あっぶな。頭に当たったら死んでたよね。


まぁでもご飯をくれるだけましだと思おう。


お腹が空いた私は哺乳瓶にしゃぶりついた。


赤ちゃんって、意外にお腹空くんだよ。動いてないのに不思議だよね〜。


「あう！？」


思わず声を上げた。


冷たっ！？


哺乳瓶のミルクはキンキンに冷え切っていた。


おいおいミルクをわざわざ冷蔵庫で冷やしたのかよ。ビールじゃないんだからさ。


この世界に冷蔵庫という概念があるのかはわからないが、


これはどう考えてもわざと冷やしたミルクだ。


その証拠に結露が付いている。


なんでこれ持った時に気づかなかったんだよ私。


赤ちゃんに冷たいミルクを飲ませるなんて、死ねと言っているも同然だ。


私は独身の末っ子だったから赤ちゃんに関する知識なんてないけど、


ミルクは人肌ぐらいってことは知ってる。


やっぱり私嫌われてんなーと思いながら、自分でなんとかミルクを温めてみる。


…寒い。


駄目かー…。赤ちゃんって体温調節とかできないんだっけ？


じゃあとりあえず毛布で包んで…。


ゆりかごの中には毛布が一枚だけ。


赤ちゃん用のおもちゃなんてあるわけないし、毛布が入っているだけでもありがたいくらいだけど。


やっぱり死ねって思われてんのかな。


まぁ死にませんけどね。何が何でも生き抜いて見せますがね。


そういえば。


ウィストン公爵家って、なーんか聞いたことあるんだよね。


それをここしばらくずっと考えてて、やっと思い出した。


レオンフィーナ・ウィストンって、前世で読んでた漫画の悪役令嬢じゃ〜ん。


そんでもって、主人公に殺される類の悪役じゃ〜ん。


あはは、もはやテンプレだよね。


ただ、普通の悪役令嬢転生ものとちょっと違うのは…


転生する漫画のジャンルが、復讐ものってこと。


大体さー、こういうのって乙女ゲームとかさー、学園ものとかさー、なんかさー…


違うじゃん！！話が違うじゃん！！


大体こういう類のものは断罪されて国外追放か死刑とかそういうのだよね。


でもレオンフィーナ・ウィストンは主人公ちゃんの復讐によって、


恥をかかされるわ、悪事を暴かれて社交界の居場所がなくなるわ、


そんでもって刑務所的な塔に入れられるわ…


最終的に誰かに毒を盛られて死ぬっていう悲惨オブ悲惨な運命を辿るんですわ…。


誰かって誰やねん！！

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