第十九話。 ページ20
「どうも〜?狂ったお嬢様こと、レオンフィーナ様で〜す。」
私は男に向かってひらひらと手を振りながらそう言った。
男の顔はえ、人間ってそんな顔真っ青になんの?っていうくらい青白くなってしまった。
「な、なんで…赤子…喋って…!?ひっ…ば、化け物!化け物!」
文章にならない言葉を紡いだかと思えば、化け物と叫ぶ男。
なっさけないね。こんなちっこい赤ん坊一人にこんなに怯えて。
そんな男に向かって私はニヤリと笑って言った。
「人間が化け物と呼ぶ生き物について考えたことってある?」
「な、なにを…」
私は、考えたことがある。
なぜ人はあえて化け物という言葉を使うのか。
「人が何かを化け物と呼ぶとき、それはその何かに怯えているとき。」
化け物。
私に何度も向けられた言葉。
「人は自分よりも優れたものを恐ろしいと思う。そして同時に、憎しみや怒りも生まれる。」
つまり、憎しみや怒りを抱いているとき、心のどこかで恐ろしいとも感じているということなのか?
「人は皆等しく負けず嫌いだ。いいや、意地っ張りなのかもしれない。恐ろしい、けれど、それが相手に伝わるのは癪に障る。」
つまりはどんな相手であっても、自分が優位に立っていたい。見下していたいという人間の真理。
「だから人間は、自分よりも優れたもの、恐ろしいものを、憎しみや皮肉を込めてこう呼ぶんだ、”化け物”。」
だがそれは同時に、本気を出されれば、自分は敗北してしまうという意味でもある。
「君は私のことを化け物呼ばわりしたね?つまり今優位なのは…私ってことになるよね〜?」
男は逃げだそうと藻掻くも、ウルキオの魔法に囚われている今、なんの意味も成さない。
「ねぇ、誘拐犯(仮)さん。今貴方がするべきことはなんなのか…わかる?」
にっこりと満面の笑みを浮かべてそう言ってやれば、
男は顔の穴という穴から液体を流して必死に叫ぶ。
「た、助けて!!すまなかった!!あぁ、こんな仕事受けなきゃよかった!!」
「生きたい?死にたくない?」
「あ、あぁ!あぁ!あぁ!!」
問いかければ男は壊れた玩具のように同じ言葉を繰り返す。
「じゃあ、教えてほしいんだけど。アンタに依頼をしたのは誰?」
「そ、それは…!」
男は口篭もる。
さすがにそう易々とは言えないか。
この男はこの公爵家の娘の部屋に堂々とドアから入ってきた。
それは内部に協力者がいたということを示す、動かぬ証拠だった。
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ポチ - そうだったんですね。ごめんなさい。こちらこそ、勘違いしました。明日も寒いらしいので体調には気を付けて下さい。 (2023年2月15日 17時) (レス) id: 07a8a54005 (このIDを非表示/違反報告)
キル坊(プロフ) - ポチさん» お久しぶりです。こちらは復讐ものの小説の中に入ってしまった主人公のお話であり、この小説自体が復讐系のお話なわけではないです…。申し訳ありません。 (2023年2月15日 16時) (レス) @page27 id: a4a1b981d8 (このIDを非表示/違反報告)
ポチ - こんにちは。お久し振りです。こちらも復讐系ですか。私、復讐系好きですよ。 (2023年2月15日 14時) (レス) id: 07a8a54005 (このIDを非表示/違反報告)
キル坊(プロフ) - 桜都葉さん» あはは。あー、私もそのくらいしか覚えてませんよ。(※一応作者です)そもそも覚えられないような名前をしてるのがいけないんです(※名前を考えたのはこの人です)はい!更新頑張ります! (2023年1月30日 13時) (レス) id: a4a1b981d8 (このIDを非表示/違反報告)
桜都葉 - キル坊さん» あ、なるほど。二人じゃなくて良かった。(←ちょっとコイツ罰あたり)登場人物…恥ずかしながらレオンフィーナちゃんとウルキオしか覚えてない…。神の名をすべて忘れた!なぜだ!?(←罰あたりだし、頭の容量少ないから)更新、頑張ってくださ〜い! (2023年1月29日 0時) (レス) @page17 id: 16abf5aa00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キル坊 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/okitakarum1/
作成日時:2022年12月28日 14時