story4 ページ6
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それは本当に偶然だった。
仕事帰り、スーパーで食材を購入し帰路についていた時。
聞こえてきたパトカーのサイレンの音に気をとられていたら、ドンッと肩に衝撃を感じて。
「あっ、すみません…」
人にぶつかったのだ、とわかった時には手元の袋から購入したオレンジが飛び出してコロコロと転がっていってしまう。
「こちらこそすみません!あ、オレンジが…」
「大丈夫です。それでは」
ぶつかってしまった男性は、オレンジの行方を気にしてくれたのだが、すぐそこの脇道に入っていったのを見ていたのでその場で会釈して別れた。
オレンジを追って脇道へと入れば、表通りとは違う鬱々とした暗さに嫌な空気を感じながら目当ての物を手にして、ふと視線をあげた時。
「きゃ…っ!」
音もなく目の前に立っていた人物に驚いて、思わず小さな悲鳴をあげてしまった。
その人は黒い帽子に黒いコート。長い銀色の髪が印象的な男性だった。
「…あいつに、そっくりじゃねぇか」
私の顔を見た男性は驚きに目を見開いて、そう呟くように言う。
「…あの…?」
私に似た誰かを知っているのだろうかと、首をかしげながら訪ねようとすると、路地の奥から更に二人の男性がやってきた。
「アニキ、今車を…っと…?」
「何ですウォッカ。急に立ち止まって…、!?」
やってきたのは目の前の銀髪の男性と同じように黒ずくめの格好をしたガタイのいい男性と、もうひとりはよく見知った人で、私は更に驚いてしまう。
「…と、透さん…?」
「…バーボン。お前の知り合いか?」
「……勤めている喫茶店のお客様です。よく来て下さるんですよ」
「喫茶店の客、ねぇ…お前、名前は?」
鋭い視線に晒されて、思わずびくりと体を強ばらせる。
きっとこれは、会ってはいけない人たちだ、と今さらながらに脳内に警鐘が響く。
彼の質問にどう答えたら、と思う間もなく、透さんがやってきて私をその背に庇ってくれた。
「…ジン。珍しいですね、あなたが女性を口説くなんて。でもこの人は駄目ですよ。僕のお気に入りなので」
「フンッ。てめぇの気に入りだがなんだか知らねぇが、俺はそいつに用があるんだ。邪魔するな」
「それはできない相談ですね」
「……バーボン。てめぇ死にてぇのか」
ガチャリ、と重々しい音と共に拳銃を突き出したジンと呼ばれた彼に驚いて、びくりと体をすくませる。
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kaoru(プロフ) - 一気読みしました!ぱぱんださんの赤井さん格好いいし、降谷との絡みが面白すぎる!!更新楽しみにしてます! (2020年7月9日 0時) (レス) id: ecb16dd86f (このIDを非表示/違反報告)
akithin.(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2020年5月23日 14時) (レス) id: 58267e955c (このIDを非表示/違反報告)
壟薇 - とても面白いです!更新再開待ってます! (2019年12月6日 15時) (レス) id: ebdf59309e (このIDを非表示/違反報告)
玄ちゃん(プロフ) - 初めまして(*^^*) 面白そうで最初から全て読みました! 更新が再開されるのを楽しみに待ってます(≧∇≦) (2019年11月2日 18時) (レス) id: b03705665b (このIDを非表示/違反報告)
grenouille(プロフ) - お久しぶりです!なかなかタイミングがなくて、すっかり時間が経ってしまいましたが、やっぱり、ぱぱんださんの作品好きです(^^)また、更新お待ちしてます(o^^o) (2019年8月18日 19時) (レス) id: 390c91a8c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱぱんだ | 作成日時:2018年12月2日 16時