story7 ページ12
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「…それで、しつこくAさんの名前を知りたがってたんですね」
「…零さんが庇って下さったので、言わずに済みましたが…」
「そうだったのか…」
とはいえ、あの男が調べようと思えば名前や住所、職場くらいはあっという間に突き止めるだろう。
それは降谷君も同意見のようで、彼の表情は難しいままだ。
「…赤井、少しいいですか」
「あぁ」
不安気に揺れたチョコレート色にひとつ笑みを見せて、Aの頭を撫でる。
少し待っていてくれ、と言って降谷君と隣の部屋へと入った。
「ひとつ、気になることが」
「なんだ?」
「Aさんの名前を教えろと言っても教えなかったから、ジンは拳銃を向けてきたんです」
何かあるとすぐに拳銃を向けるクセがあるあの男を思い出し、まぁいつものことかとひとつ頷く。
「その時、Aさんはだいぶ怖がっていた様子で…」
「それはそうだろう。Aは一般人だ」
「問題はそこじゃない。…あのジンが、怖がっているAさんを見て、拳銃を下げたんです」
「何だって…!?」
「…何とも言えないけれど、俺にはそう見えた」
「…………」
こう言っては何だが、人に拳銃を向けるのも、またそれで命を奪うのも何とも思っていないような男が、怯えたAを見て拳銃を下げたというのか?
俄に信じがたい出来事に思わず考え込んでしまう。
しかし人の感情の機微に聡い降谷君が、そう感じたというのなら、Aにそっくりだというジンの知り合いは彼にとって特別な人なのだろうか。
「……まさか恋人、とか」
「俺も思いましたけど、そんな話はついぞ聞いたことがありませんし…正直あのジンが恋人とイチャついてる様子も想像できない…」
「それには同感だが、ジンにとってAのそっくりさんは特別な相手である可能性は高いな」
「…えぇ、間違いなく。少しベルモットあたりに探りをいれてみます。あとAさんの警護に公安の方でも人を回しますから」
「すまない、助かるよ。俺もジョディやキャメルに声をかけておく」
「わかりました。できるだけAさんには普段通りの生活を送ってもらいたいですからね」
「あぁ、ありがとう。俺の方でも思い当たる事柄は調べてみるよ」
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kaoru(プロフ) - 一気読みしました!ぱぱんださんの赤井さん格好いいし、降谷との絡みが面白すぎる!!更新楽しみにしてます! (2020年7月9日 0時) (レス) id: ecb16dd86f (このIDを非表示/違反報告)
akithin.(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2020年5月23日 14時) (レス) id: 58267e955c (このIDを非表示/違反報告)
壟薇 - とても面白いです!更新再開待ってます! (2019年12月6日 15時) (レス) id: ebdf59309e (このIDを非表示/違反報告)
玄ちゃん(プロフ) - 初めまして(*^^*) 面白そうで最初から全て読みました! 更新が再開されるのを楽しみに待ってます(≧∇≦) (2019年11月2日 18時) (レス) id: b03705665b (このIDを非表示/違反報告)
grenouille(プロフ) - お久しぶりです!なかなかタイミングがなくて、すっかり時間が経ってしまいましたが、やっぱり、ぱぱんださんの作品好きです(^^)また、更新お待ちしてます(o^^o) (2019年8月18日 19時) (レス) id: 390c91a8c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱぱんだ | 作成日時:2018年12月2日 16時