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「…あ、でも…すでにお付きあいされている方が…」
「いません」
しまった。思わずくいぎみに答えてしまった。
俺は今、沖矢昴だというのに。
ボウヤの呆れたような視線が若干気にはなるが、そこは気づかないふりをしておく。
「…ですが…今日会ったばかりですし…とりあえず、友人として友好を深めてからというのはどうでしょう?」
本当ならば恋人になりたい。
ものすごく、なりたい。
長年の夢といってもいい。
でもそれは、
そもそも、なぜ唐突にそんなことを言い出したのか、今はそちらの方が気にかかる。
単純に顔がタイプだった、とかだったらどうしたものか。
「…それもそうですね。突然申し訳ありませんでした」
Aは俺の提案に少し考えたあと、眉を下げて苦笑した。
「…何だか気が急いてしまって…沖矢様のことをよく知りもせず、失礼致しました」
「…いえ。あなたのような可愛らしい方にそんなことを言われて、嫌がる男はいませんよ」
「まぁ、可愛らしいだなんて」
ふふ、と微笑むAに子供たちの好奇の視線が刺さる。
「Aお姉さん、歩美応援するよ!」
「あら、ありがとう。嬉しいわ」
僕も、俺も!と子供たちが続いて、ボウヤと志保…灰原哀という子は呆れた顔をしていた。
「ねぇ、Aお姉さん」
「ん?なぁに?…あぁ、なるほど」
歩美ちゃんがAの服を引っ張って、かがんだ彼女の耳に何やら耳打ちをしている。
不思議に思って見ていると、Aはにっこりと俺に笑みを向けた。
正直、嫌な予感しかしない。
「沖矢様。好みの女性はどのような方なのでしょう?」
ごふっと思わずむせる。
まさか想い人に、好きな女のタイプを聞かれることになろうとは。
「え、えぇと…そうですね…」
先程から予想外、というより突拍子もないAの連続発言のせいで、いまいちうまく思考が回らない。
「…りょ、料理上手で…笑顔が優しい女性でしょうか…?」
しまった。まんまAじゃないか…!
おい、ボウヤ。こっそりため息をつくのはやめてくれ。
こっちもそれなりに必死なんだ。
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ぱぱんだ(プロフ) - カコさん» いつもありがとうございます!最高と言ってもらえて、本当に嬉しいです(*^^*)基本的にハピエン好きなので、読んだあとほっこりしたいじゃないですか(笑)優男の方もぜひ、お願いしますね! (2018年4月9日 21時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
カコ - いや〜もう最高でした。ぱぱんださんの作品は読後に幸せな気持ちになれて好きです。今回もありがとうございました。これから安室の続編読みま〜す。 (2018年4月9日 20時) (レス) id: 667d573e94 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 智真さん» こちらこそ、読んで下さってありがとうございました(*^^*)楽しんで頂けたようで、とても嬉しいです!これからの執筆の糧にさせていただきますm(__)m (2018年4月9日 18時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
智真(プロフ) - 完結おめでとうございます!赤井さんイケメンすぎるし、降谷さん優しすぎるし、キュン死しそうに何度もなりました笑 公安メンバーとのやり取りも凄く好きで、とにかく面白かったです!!素敵なお話ありがとうございました(≧∀≦) (2018年4月9日 16時) (レス) id: 809fa61cec (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - みーさん» ありがとうございます(*^^*)楽しみにして下さって、とても嬉しいです!おかげさまで無事に完結できました(*^^*) (2018年4月9日 6時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱぱんだ | 作成日時:2018年3月2日 11時