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「…先ほどは運んで下さってありがとうございました。重かったでしょう?」
「そんなことありませんよ」
「…何か鍛えてらっしゃるんですか?」
「……いいえ?」
じっとAの瞳が俺から離れない。
なんだ。何をしようとしている?
この姿では俺だとバレようがないはずだが。しかも今日会ったばかりで、大して会話をしたわけでもない。
「…あの、沖矢様…」
「何でしょう」
真剣な瞳でAは俺を見つめる。
まわりの子供たちも、不思議な空気を肌で感じているのか、大人しくこちらを見ていた。
「不躾で大変申し訳ないのですが…ぎゅっと抱きしめてもよろしいでしょうか?」
「…………………は?」
「え、えぇ!?Aさん!?」
驚きに数秒固まった俺と、なんだなんだと目をぱちくりさせるボウヤと子供たち。
一体何を思ってそんなことを言い出したんだ。
正直俺だって抱きしめたいが、今は沖矢昴だ。初対面の女性とそんなことをしてはまずいだろう。
そもそも、
こういう男がタイプなのか…!?
必死で頭をフル回転させ、なけなしの冷静さをかき集める。
「…その…僕よりも、Aさんの方がマズイのでは?恋人でもない男とそんなことをしてはだめでしょう」
この混乱の中、我ながらいい言葉を思い付いたと思う。
そうだ。恋人でもない男にそんなことは言ってはだめだろう。
「では沖矢様。私を恋人にして下さいませ」
「…………………はい?」
「「「「 え、えぇぇぇーっ!? 」」」」
子供たちの驚く声がこだまする。
俺の思考は完全にフリーズした。
何?恋人にして下さい?
沖矢 昴の?恋人に…?
え、今日会ったばかりだぞ?
二十数年想いを寄せていた
「Aお姉さん、一目惚れしたの?」
歩美ちゃんと呼ばれていた子が、目を輝かせてAに尋ねる。
そうか、一目惚れ。
え?一目惚れ……したのか?
「んー、そうね。そんな感じかしら?」
いや、どんな感じだ。
そんな軽いノリで初対面の男に交際を申し込むなんて、お前は一体どういうつもりなんだ。
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ぱぱんだ(プロフ) - カコさん» いつもありがとうございます!最高と言ってもらえて、本当に嬉しいです(*^^*)基本的にハピエン好きなので、読んだあとほっこりしたいじゃないですか(笑)優男の方もぜひ、お願いしますね! (2018年4月9日 21時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
カコ - いや〜もう最高でした。ぱぱんださんの作品は読後に幸せな気持ちになれて好きです。今回もありがとうございました。これから安室の続編読みま〜す。 (2018年4月9日 20時) (レス) id: 667d573e94 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 智真さん» こちらこそ、読んで下さってありがとうございました(*^^*)楽しんで頂けたようで、とても嬉しいです!これからの執筆の糧にさせていただきますm(__)m (2018年4月9日 18時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
智真(プロフ) - 完結おめでとうございます!赤井さんイケメンすぎるし、降谷さん優しすぎるし、キュン死しそうに何度もなりました笑 公安メンバーとのやり取りも凄く好きで、とにかく面白かったです!!素敵なお話ありがとうございました(≧∀≦) (2018年4月9日 16時) (レス) id: 809fa61cec (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - みーさん» ありがとうございます(*^^*)楽しみにして下さって、とても嬉しいです!おかげさまで無事に完結できました(*^^*) (2018年4月9日 6時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱぱんだ | 作成日時:2018年3月2日 11時