story70 ページ25
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「いや、通用します。保証してもいい。…って、そうじゃない。だから、女性の力ではどうにもならないような事態になったらどうするんですか」
「…それは、困りましたね…」
「そうでしょう?だからそんな真似はやめてくださいね」
「はい…って、しませんよ。ハニートラップなんて」
うっかり流されそうになったが、慌てて否定すれば透さんは眉をしかめて。
「でも、付き合おうとしてるんでしょう?」
同じことでは?と言われて言葉につまる。
確かに昴さんに恋をして交際をしたいと思っているわけではないので、そう言われてしまえばそれまでだが。
うまい言葉が見つからずに、手元の紅茶を啜る。いつの間にか、ぬるくなってしまった。
「…このお店、とても雰囲気がいいですね」
「…………」
はぐらかされませんよ、と言いたげに彼から非難の視線を浴びる。
相手は喫茶店の店員の姿をしていても、中身は警察官。その視線からは簡単に逃げられそうになかった。
**************
ポアロでの相談から早二週間ほど。
結局うやむやのまま、時を過ごしていた。
昴さんも透さんも何やら忙しかったようでここのところ連絡もあまりしていなかったのだ。
そもそも、昴さんにはあの日以来私からは連絡できていない。
透さん、もとい零さんはミステリートレインがどうとか言っていたけれど、その辺りから何やら忙しそうである。
まめな彼は時折、連絡はくれるのだけれど。まるで本当の保護者のようだ。
そして現在、私は子供たちと一緒にクール便のコンテナに閉じ込められていた。
なぜこんなことになってしまったか。
仕事先のマンションを出た所に停まっていたチーター便のトラックから子供たちの声が聞こえて、覗いてみたら哀ちゃんが服を着ていなかったので、私の上着を着せていたらトラックが出発してしまい、死体まで発見してしまって出るに出られず一緒に閉じ込められているのだ。
ちなみに連絡手段のスマホも、今日に限って電池切れで、まるで役に立たない大人が一人増えてしまっただけという最悪の事態になってしまった。
「Aさん、大丈夫?私が上着を借りてしまったから寒いんじゃ…」
「長袖着てるから大丈夫よ」
気遣わしげな哀ちゃんの視線を受けて微笑んでみせるが、本当は寒くて仕方ない。
今日は暖かかったので、薄手の長袖できてしまったのだ。
加えてもともとの冷え性が重なって、先程から指先の感覚があまりない。
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ぱぱんだ(プロフ) - カコさん» いつもありがとうございます!最高と言ってもらえて、本当に嬉しいです(*^^*)基本的にハピエン好きなので、読んだあとほっこりしたいじゃないですか(笑)優男の方もぜひ、お願いしますね! (2018年4月9日 21時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
カコ - いや〜もう最高でした。ぱぱんださんの作品は読後に幸せな気持ちになれて好きです。今回もありがとうございました。これから安室の続編読みま〜す。 (2018年4月9日 20時) (レス) id: 667d573e94 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 智真さん» こちらこそ、読んで下さってありがとうございました(*^^*)楽しんで頂けたようで、とても嬉しいです!これからの執筆の糧にさせていただきますm(__)m (2018年4月9日 18時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
智真(プロフ) - 完結おめでとうございます!赤井さんイケメンすぎるし、降谷さん優しすぎるし、キュン死しそうに何度もなりました笑 公安メンバーとのやり取りも凄く好きで、とにかく面白かったです!!素敵なお話ありがとうございました(≧∀≦) (2018年4月9日 16時) (レス) id: 809fa61cec (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - みーさん» ありがとうございます(*^^*)楽しみにして下さって、とても嬉しいです!おかげさまで無事に完結できました(*^^*) (2018年4月9日 6時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱぱんだ | 作成日時:2018年3月2日 11時