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「ごちそうさまでした。今日もとても美味しかったです」
「お粗末様でした。お口にあったならよかったです」
Aの作ってくれた夕飯を二人で食べ、並んで片付けをする。
「お仕事、かなり人気なんじゃないですか?一度食べたらまたお願いしたくなるくらい美味しいですから」
「ありがとうございます。人気というほどではありませんが…ありがたいことに常連さんもいらっしゃるので、働き甲斐がありますよ」
「料理、好きなんですね」
「はい」
笑顔で頷くAの手から皿を受け取り、水気を拭き取っているとAの視線が俺の手に注がれているのがわかった。
「?…何か…?」
「あ、いえ…左利きなんだな、と…」
「…えぇ。珍しいですか?」
Aはまた皿に視線を戻し、いえ、と否定の言葉を呟く。
「…私の、そう…大切に思う方も左利きなので…」
大切に思う方。
それは、
そうであったらいい。
そして、その思いは家族としてなのか、それとも、少しは期待をしてもいいのかとても気になるところだ。
「…大切に思う方、ですか…?」
「…えぇ、とても」
そう言ってAは物言いたげに、じっと俺を見つめる。
そのまっすぐなチョコレート色の瞳に、甘く溶かされそうになって、思わず目を反らした。
いけない。今は沖矢昴だった。
「…それは、妬けてしまいますね」
「…妬ける…?」
「えぇ。あなたにとても惹かれているので、ぜひ交際をと思っているのですが…そのようなお相手がいらっしゃるのですか?」
「いえ、そういうわけでは…」
皿を洗い終えて、Aは手を拭きながら何やら考え込んでいる素振りをみせる。
「…ん?…昴さんは、交際の申し出を受けてくださるということですか…?」
目を瞬かせたAに、こくりと頷けば彼女もそうですか、とこくりと頷いて。
「…ありがとうございます。でも、もう少しお友達のままでもよろしいですか?」
さらりとフラれた。
え?あれ…?
Aが告白をしてきたと思ったのだが、違っただろうか。
そもそも抱きしめていいかどうかとか、そんなことを言っていたから、
告白をOK→抱きしめる→秀一だと気づく?
というパターンは想定して、対処法はいくつか考えておいてのだけれど…まさか、フラれるとはな。
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ぱぱんだ(プロフ) - カコさん» いつもありがとうございます!最高と言ってもらえて、本当に嬉しいです(*^^*)基本的にハピエン好きなので、読んだあとほっこりしたいじゃないですか(笑)優男の方もぜひ、お願いしますね! (2018年4月9日 21時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
カコ - いや〜もう最高でした。ぱぱんださんの作品は読後に幸せな気持ちになれて好きです。今回もありがとうございました。これから安室の続編読みま〜す。 (2018年4月9日 20時) (レス) id: 667d573e94 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 智真さん» こちらこそ、読んで下さってありがとうございました(*^^*)楽しんで頂けたようで、とても嬉しいです!これからの執筆の糧にさせていただきますm(__)m (2018年4月9日 18時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
智真(プロフ) - 完結おめでとうございます!赤井さんイケメンすぎるし、降谷さん優しすぎるし、キュン死しそうに何度もなりました笑 公安メンバーとのやり取りも凄く好きで、とにかく面白かったです!!素敵なお話ありがとうございました(≧∀≦) (2018年4月9日 16時) (レス) id: 809fa61cec (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - みーさん» ありがとうございます(*^^*)楽しみにして下さって、とても嬉しいです!おかげさまで無事に完結できました(*^^*) (2018年4月9日 6時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱぱんだ | 作成日時:2018年3月2日 11時