story48 ページ3
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これは何という偶然か。
己の死を偽装し、変装をして隠れ住んだ先が火事になり、まさかそこにAが居合わせるなんて。
しかも気にかかるのは以前よりも、PTSDの症状がひどくなっていることだ。
前は薬なんて飲んでいなかったし、炎を目にしなければ、動けなくなるほど具合が悪くなることもなかったはず。
まさかとは思うが、
そんなことを思いながらも、俺の居候先が工藤邸に決まったあたりでAは目を覚ました。
先程より、ずいぶん顔色もよくなっている。
「すみません、いろいろとお世話をかけました」
ぺこりと頭を下げて皆に挨拶すると子供たちは、もう大丈夫?と心配をしながらも、よかったね、と彼女の戻った顔色を喜んだ。
「ねぇ、Aさん。さっき、今日の仕事先が"木馬荘"だったって言ってたけど、Aさんの仕事って…?」
ボウヤが首をかしげると、Aはふんわりと微笑んで。
「家事代行サービスの家政婦よ」
「かじだいこうサービス?」
「かせいふさん??」
ボウヤは納得していたが、子供たちには聞きなれない言葉だったようでそれぞれ首をかしげている。
「えーと、何て言ったらいいかな…あ!メイドさんならわかる?」
「メイドさん!わかるー!」
「園子お姉さんのお家にいる人たちですね!」
「飯とか持ってきてくれる人だろ!?」
「そう。依頼してくれた家の人のために、ご飯作ったりお掃除したりするのがお仕事なの」
そうなんだー!と、はしゃぐ子供たちにAは優しく微笑んで、そういえば自己紹介をしていなかったね、と言った。
「初めまして、紺野 Aです」
名乗ったAに、子供たちが順に続いていく。
「私、吉田 歩美!」
「僕は円谷 光彦です!」
「俺は小嶋 元太!で、あそこにいるのが阿笠博士と…」
「灰原 哀よ」
元より知り合いだったボウヤ以外の自己紹介が終わり、最後にチョコレート色の瞳が俺を捕らえた。
「…大学院生の沖矢 昴と申します。隣のあのお家に居候することになりまして」
ちらり、と窓の外に見える工藤邸へ視線をやれば、Aはそうなんですか、と呟く。
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ぱぱんだ(プロフ) - カコさん» いつもありがとうございます!最高と言ってもらえて、本当に嬉しいです(*^^*)基本的にハピエン好きなので、読んだあとほっこりしたいじゃないですか(笑)優男の方もぜひ、お願いしますね! (2018年4月9日 21時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
カコ - いや〜もう最高でした。ぱぱんださんの作品は読後に幸せな気持ちになれて好きです。今回もありがとうございました。これから安室の続編読みま〜す。 (2018年4月9日 20時) (レス) id: 667d573e94 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 智真さん» こちらこそ、読んで下さってありがとうございました(*^^*)楽しんで頂けたようで、とても嬉しいです!これからの執筆の糧にさせていただきますm(__)m (2018年4月9日 18時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
智真(プロフ) - 完結おめでとうございます!赤井さんイケメンすぎるし、降谷さん優しすぎるし、キュン死しそうに何度もなりました笑 公安メンバーとのやり取りも凄く好きで、とにかく面白かったです!!素敵なお話ありがとうございました(≧∀≦) (2018年4月9日 16時) (レス) id: 809fa61cec (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - みーさん» ありがとうございます(*^^*)楽しみにして下さって、とても嬉しいです!おかげさまで無事に完結できました(*^^*) (2018年4月9日 6時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱぱんだ | 作成日時:2018年3月2日 11時