story56 ページ11
.
「全く。いくつになっても騒々しい」
「元気なのも、真純様のいいところですよ。あ、お弁当奥様の分もありますのでよかったら」
「…悪いな。ちょうどホテルの料理に飽きてきたところだ。お前の料理の方が断然うまい」
「そんな…プロのシェフには敵いませんよ」
「何を言ってる。お前もプロだろう」
謙遜するAに、ふ、と笑って、座っていたベッドへと手招きをする。
大人しく近寄ってきたAをベッドの縁に座らせて、その頭を撫でた。
この小さくなった体では、いまいち様にはならないが。
「…奥様…?」
「…A、ちゃんと眠れていないだろう?」
「…そんな、ことは…」
「化粧で誤魔化してもわかる。何年家族をやってると思ってるんだ」
私の言葉に、Aは顔を歪めた。今にも、泣き出しそうに。
「…秀一のことだな?」
「…………」
「…まさか、死因を知ったのか」
躊躇ったあと、Aは静かにこくりと頷いた。
「…ニュースにもなっていたから、いずれは知ることになるかもしれないと思っていたが…」
「…すみません…せっかく奥様がお気遣い下さったのに…」
「それは構わないが…Aは大丈夫なのか…って聞くまでもないな」
目の下に残る隈をそっと撫でれば、Aは苦笑する。
「大丈夫ですよ。以前よりは眠れてます…薬も、飲んでますから…」
精神安定剤か。あまりよくはないが、今の状況では何もないよりはいいだろう。
「…A。秀一は自らの意志であの道を進んだ。こういった結果になっても、あいつは覚悟の上だろう。…だから、お前が囚われてはいけない。Aは、生きているのだから」
小さな体であることがもどかしいと思いながら、ぎゅ、とAの体を抱きしめる。
.
698人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぱぱんだ(プロフ) - カコさん» いつもありがとうございます!最高と言ってもらえて、本当に嬉しいです(*^^*)基本的にハピエン好きなので、読んだあとほっこりしたいじゃないですか(笑)優男の方もぜひ、お願いしますね! (2018年4月9日 21時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
カコ - いや〜もう最高でした。ぱぱんださんの作品は読後に幸せな気持ちになれて好きです。今回もありがとうございました。これから安室の続編読みま〜す。 (2018年4月9日 20時) (レス) id: 667d573e94 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 智真さん» こちらこそ、読んで下さってありがとうございました(*^^*)楽しんで頂けたようで、とても嬉しいです!これからの執筆の糧にさせていただきますm(__)m (2018年4月9日 18時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
智真(プロフ) - 完結おめでとうございます!赤井さんイケメンすぎるし、降谷さん優しすぎるし、キュン死しそうに何度もなりました笑 公安メンバーとのやり取りも凄く好きで、とにかく面白かったです!!素敵なお話ありがとうございました(≧∀≦) (2018年4月9日 16時) (レス) id: 809fa61cec (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - みーさん» ありがとうございます(*^^*)楽しみにして下さって、とても嬉しいです!おかげさまで無事に完結できました(*^^*) (2018年4月9日 6時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぱぱんだ | 作成日時:2018年3月2日 11時