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「いいですか、Aさん。約束ですよ?」
「ですが…」
「ですがもかかしもありません」
いつかの俺のように、Aさんは小さく「かかし…?」と呟いていたが、この際それは無視だ。
退院日。病室で帰り支度をして、荷物(ほぼうちの課のお見舞い品)を先に車に乗せ、まるで心得のように退院後の話をしていた。
「具合が悪くなったら、必ず連絡をしてくること。眠れなかったりした場合も同様です。あと、無茶をしないこと。危険なことをしないこと。何か危ない目にあったり、不審に思うことがあれば、それも必ず連絡すること。あぁ、それから薬もきちんと飲んで下さいね。通院の時には付き添いますから」
「…零さん、心配しすぎでは…?」
「あなたにはこれくらいでちょうどいいんです。約束、してくれますね?」
「ですが、そんなにご迷惑は…」
「Aさん。降谷の好きにさせてやってくれないか?」
突如会話に入ってきた声に思わず二人で部屋の扉を見れば、そこには
「志田様…!」
「管理官…!?」
俺の上司が楽しそうに笑っていた。
「Aさん、見舞いに来れずに申し訳ない」
「とんでもないです。奥様には毎日お世話になってしまって…」
「本人はこのくらいじゃ、あの時の恩返しには程遠いと言っていたよ」
「そんなことは…!」
恐縮するAさんに、管理官はひとつ笑って。
「Aさんのことがうちの家内も、部下達も大好きでね。…もちろん、そこの降谷も」
「か、管理官…!」
「お前が照れるなんて珍しいな。…まぁそんなわけで、あなたの力になりたくて必死なんだ。面倒な男で申し訳ないが、降谷の好きにさせてやってくれないか?…もちろん、私も心配だしね。この男なら信をおいてるから任せても大丈夫だ」
誉められてるんだか貶されているのか、おまけにさらっとカミングアウトされたような気もするが、上司の後押しもあって、Aさんはこくりと頷いた。
「…では、その…すみませんがいろいろとお世話になります」
「はい。こちらこそ」
ホッとしてAさんに笑みを返せば、にやにやとした上司の視線を感じたが、全力で気付かないふりをした。
*******
零さんに自宅まで送ってもらい、今日はゆっくりしながら私は今後の予定を確認していた。
明日から早速仕事に復帰するつもりなのだ。
何かしていた方が、落ち着く気がして。
「…明日は新規のお客様か…えぇと、米花町2丁目23番地"木馬荘"の杉浦様、ね」
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ぱぱんだ(プロフ) - 桜桃さん» 夢主は警備企画課はアイドルみたいになってますからね(笑)赤井さんの悩みの種が増えること間違いなしです(笑)風見さん好きなので出せて良かった…!(*^^*) (2018年3月1日 10時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
桜桃 - 赤井さんが夢主のモテモテぶりを見たら、きっと血相を変えるでしょうね(笑)風見さん達が青春真っ盛りの少年見たいでカワイイ(*´ω`*) (2018年3月1日 10時) (レス) id: c7f2d52cbe (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 桜桃さん» 赤井さんは子供のころからイケメンであってほしいイメージです(笑) (2018年2月26日 12時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
桜桃 - 番外編読みました。赤井さんは子供の頃からカッコイイ! (2018年2月26日 12時) (レス) id: c7f2d52cbe (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - えりさん» こちらこそ、ありがとうございます(*^^*)正直、嫉妬する二人は書いていて楽しいです(ひどい) (2018年2月23日 0時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱぱんだ | 作成日時:2018年2月10日 7時