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story35 ページ37

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「はい。楠田さんからで、お届物はこちらです」

「は、花…?」


花を受け取っているジョディさんを、難しい顔をして見ていた秀一様に、私はもう一度声をかける。


「お仕事ですよね?私なら大丈夫です。このまま真っ直ぐ帰りますから」

「……すまない。せめてタクシー乗り場まで送っていくから」

「大丈夫ですって…」

「ボウヤ、ジョディに伝えておいてくれ」

「うん、わかったよ!」


さっぱり私の話を聞いてくれない秀一様に連れられて、タクシー乗り場へと向かう。


「すまない。傍にいてやれなくて…」

「何ともありませんから大丈夫ですよ。秀一様のおかげで炎も見えませんてしたし」


そうか、と苦笑した秀一様は先頭にいたタクシーをつかまえて私を乗せた後、私の制止も聞かずドライバーにお金を渡し、住所を告げる。


「A、部屋に戻ったら必ず連絡を入れるように」

「…わかりました。ありがとうございます」


私の言葉に彼はひとつ頷いて。
ドライバーに出してください、と言ってタクシーから離れた。

走り出したタクシーを見送って、秀一様が踵を返したのをちらりと確認して、ひとつ息をつく。

いつまでもこんなに心配をかけていては、秀一様も困るだろう。
もっとしっかりしなくては。

そう思うのに、いつだってあの大きな左手に縋ってしまうのだ。
何度も見ていた真っ赤なあの夢から、救いだしてくれたあの優しい手に。


(……秀一様……)


仕事が落ち着いたら、また一緒にご飯を食べれるだろうか。
その時は、お礼に腕を振るおう。
私にできるのはそのくらいのことだけれど、きっと彼は喜んで食べてくれるだろうから。


そう思いながら、私は見慣れた景色が流れていくのをぼんやりと見つめた。









これが彼との最期だなんて、知りもせず。









**************

これで一部完結になります。
次は幼少期の番外編をはさんで、物語は二部へと突入します。
二部の最初は降谷さんばかりかも(笑)
オチはちゃんと赤井さんですよ!
沖矢さんも早く出したいです…←

番外編 私の救世主→←story34



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設定タグ:名探偵コナン , 赤井秀一 , 降谷零   
作品ジャンル:恋愛
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ぱぱんだ(プロフ) - 桜桃さん» 夢主は警備企画課はアイドルみたいになってますからね(笑)赤井さんの悩みの種が増えること間違いなしです(笑)風見さん好きなので出せて良かった…!(*^^*) (2018年3月1日 10時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
桜桃 - 赤井さんが夢主のモテモテぶりを見たら、きっと血相を変えるでしょうね(笑)風見さん達が青春真っ盛りの少年見たいでカワイイ(*´ω`*) (2018年3月1日 10時) (レス) id: c7f2d52cbe (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 桜桃さん» 赤井さんは子供のころからイケメンであってほしいイメージです(笑) (2018年2月26日 12時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
桜桃 - 番外編読みました。赤井さんは子供の頃からカッコイイ! (2018年2月26日 12時) (レス) id: c7f2d52cbe (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - えりさん» こちらこそ、ありがとうございます(*^^*)正直、嫉妬する二人は書いていて楽しいです(ひどい) (2018年2月23日 0時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぱんだ | 作成日時:2018年2月10日 7時

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