story34 ページ36
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外からサイレンの音が聞こえて、ふと顔をあげる。
「…火事…?」
ジョディさんの言葉に、どくん、と心臓が嫌な音を立てた。
つられるようにして窓の外へ視線を向けようとした時、視界が黒のジャケットと濃紺のシャツにうめつくされる。
「見なくていい。そう大きなものではなさそうだから、大丈夫だ」
窓と私の間に入った秀一様が、軽く引き寄せるようにして、大きな左手で宥めるように頭を撫でてくれる。
その手の優しさにほっと息をつけば、すぐに心臓の音は落ち着いていく。
「…ありがとうございます。もう大丈夫です」
そっと視線をあげれば、秀一様は眉根を寄せていて。
「もう見舞いは済んだのか?」
「はい、帰ろうとしていたところで…」
「送っていく。今日はもう外出はしない方がいいだろう」
「え?そう遠くありませんし、大丈…」
「ジョディ、少し抜けるから後を頼む」
「秀一様…!」
仕事の邪魔をするわけには、と慌てて引き止めようと秀一様の腕を引いたその時、
「え?ジェイムズ・ブラックさん?そんな患者さんは入院されていませんけど」
受付から聞こえた看護師の言葉に、3人の視線がそちらを向く。
「いや、患者さんじゃなくて付き添いの人だと聞いたんですが…」
「その人なら、私の知り合いだけど…」
「あ、はい!宅配の荷物のお届けです」
知合いらしいジョディさんが受付に行けば、どうやら宅配便が届いているようだった。
「誰に何を頼まれたの?」
「えーと…依頼主は、楠田陸道様という方からですね」
「楠田陸道…?」
その依頼主の名前に、3人がさっと顔色を変えた。
まるで空気がピン、と張り詰めたみたいだ。
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ぱぱんだ(プロフ) - 桜桃さん» 夢主は警備企画課はアイドルみたいになってますからね(笑)赤井さんの悩みの種が増えること間違いなしです(笑)風見さん好きなので出せて良かった…!(*^^*) (2018年3月1日 10時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
桜桃 - 赤井さんが夢主のモテモテぶりを見たら、きっと血相を変えるでしょうね(笑)風見さん達が青春真っ盛りの少年見たいでカワイイ(*´ω`*) (2018年3月1日 10時) (レス) id: c7f2d52cbe (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 桜桃さん» 赤井さんは子供のころからイケメンであってほしいイメージです(笑) (2018年2月26日 12時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
桜桃 - 番外編読みました。赤井さんは子供の頃からカッコイイ! (2018年2月26日 12時) (レス) id: c7f2d52cbe (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - えりさん» こちらこそ、ありがとうございます(*^^*)正直、嫉妬する二人は書いていて楽しいです(ひどい) (2018年2月23日 0時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱぱんだ | 作成日時:2018年2月10日 7時