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「…A。彼がこの酒…バーボンを俺に渡したということは、不用意に口にしてはならない。いいな?」

「は、はい。かしこまりました」

「…よし。じゃあ、せっかくもらったから飲むとするか」

「はい!グラスをお持ちしますね」


真っ直ぐな彼のことだ。
酒に何か入れるような、姑息な真似はしないだろう。
見たところ未開封のようだし、ここはありがたく頂くことにする。

Aが持ってきたグラスに、バーボンを注ぐ。
ふわりと薫るバニラの甘い香りに、ずいぶんと甘ったるい気分になる気がした。


「…あぁ、そうだ。酒を飲むということは、今夜は泊まっていっても構わないということだな?」

「はい!夜着のご用意もありますから、ご遠慮なく」

「…………」


絶対わかってないな、と思ってまたため息が出る。
留学するまで一緒に暮らしていたのだ。
アメリカにやって来たときも、俺の部屋に泊まっていたわけだし、今更その程度で意識するとも思えない。残念ながら。

これできっと、一緒に寝ようと言ってみても、昔に戻ったみたいですね、と幼少期の扱いと変わらないだろう。
なんでわかるかって?それはもう試したことがあるからだ。
若かりし頃の俺に、一晩よく耐えたと自分を褒めてやりたい。
好き勝手遊んでいた若い頃の自分が、同じベッドの中にいる意中の相手に、指一本触れられないで一晩を明かしたなんて、あの頃を知る悪友なんかにでも知られた日にはいい笑い種だろう。


「…秀一様?」

「いや、なんでもない。それより呼び方」

「あっ。すみません…」


苦笑して、グラスを合わせる。
彼から意趣返しのようにもらった酒だと思うと乾杯、という気分でもないが、Aと二人で過ごすこの時間には杯を合わせたい。



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設定タグ:名探偵コナン , 赤井秀一 , 降谷零   
作品ジャンル:恋愛
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ぱぱんだ(プロフ) - 桜桃さん» 夢主は警備企画課はアイドルみたいになってますからね(笑)赤井さんの悩みの種が増えること間違いなしです(笑)風見さん好きなので出せて良かった…!(*^^*) (2018年3月1日 10時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
桜桃 - 赤井さんが夢主のモテモテぶりを見たら、きっと血相を変えるでしょうね(笑)風見さん達が青春真っ盛りの少年見たいでカワイイ(*´ω`*) (2018年3月1日 10時) (レス) id: c7f2d52cbe (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 桜桃さん» 赤井さんは子供のころからイケメンであってほしいイメージです(笑) (2018年2月26日 12時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
桜桃 - 番外編読みました。赤井さんは子供の頃からカッコイイ! (2018年2月26日 12時) (レス) id: c7f2d52cbe (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - えりさん» こちらこそ、ありがとうございます(*^^*)正直、嫉妬する二人は書いていて楽しいです(ひどい) (2018年2月23日 0時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぱんだ | 作成日時:2018年2月10日 7時

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