優男がお好き【安室・降谷/赤井】

episode8 ページ10

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「……ん……」

「あ、起きた？ソファで寝ると、バーボンに怒られるぞ」

「…………スコッチ…？」

「おう。おはよ」

ぼんやりと目を覚ませば、そこにはいつものようににかっと笑うスコッチがいた。

そういえば昨日は、徹夜明けでベッドに行く前に力尽きたんだった。

「おはよ…待ち合わせ？」

「そ。これからバーボンもライも来るよ」

もうすっかりウチが集合場所になってるようだ。まぁ、いいけども。

「お詫びにコーヒーでも淹れるよ」

「ありがとー」

ふぁ、と欠伸をしつつぐぐっと体を伸ばす。
みんなウチのキッチンは勝手知ったるものだ。
ふと、記憶にないブランケットが掛けてあったことに気付く。スコッチだろうか。

「これ、ありがとう」

コーヒーを淹れて戻ってきた彼に、お礼を言えば、風邪ひくなよ、と返ってくる。
スコッチはなんというか、純粋に良い人だ。

「スコッチって中身は優男だよね」

「なんだよ、中身って」

「私ひげは優男として認めてないの」

「何を言う。ひげは男のロマンだ」

何それ、と笑えば彼からも同じように笑みが返ってくる。スコッチとの会話は好きだ。とても気楽だから。

そう思っていたのに、


「なぁ、前から聞いてみたかったんだけどさ…なんで優男が好きなんだ？」

「………」


思わぬ質問に言葉が詰まる。
いつもみたいに適当に答えればいいのに。
何故だろう、太陽みたいに笑う彼には嘘が吐けない気がした。


「……昔は、男の人ってみんな怖いと思ってたんだよね…でも、当たり前だけど優しい人もいるって知って…それからかな」


スコッチの目が僅かに見開かれ、しまった、と思った。余計なこと言ってしまった。


「そもそも顔のタイプも、ワイルド系より断然優男派だから！」

そう言っていつものように笑えば、スコッチは苦笑する。


「そういえば…初めて会った時も、いきなりバーボンに…すごくタイプ！好き！みたいなこと言ってたな」

「うん。優男みるとつい…特にバーボンはドストライクだったんだよ〜！もうあの顔たまんない」

「すべては顔か」


イケメンはいいな、と笑うスコッチはふと、真剣な表情を見せた。



「大丈夫だよ、アリア」

「……え…？」

「大丈夫。あいつは…バーボンは、本当に優しい奴だよ」



そう言って、彼は笑う。
太陽みたいな笑顔で。


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