優男がお好き【安室・降谷/赤井】

episode37 ページ41

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「……れ、れい…？」


嫌な予感に冷や汗が流れる。
やばい、この笑顔はバーボンだ。


「この僕相手にハニートラップとは、いい度胸ですね？」

「…ちょ、ちょっとした出来心だったの…！」

「…へぇ、出来心…ですか」


組み敷いた私を上から見下ろす零は、それはそれは甘い笑みを浮かべる。
けれど、その瞳には確かな熱が宿っていて。すぐに、降谷零の顔に戻る。

すり、と首筋に顔をうずめられて、くすぐったさに体が震えた。


「…俺と同じ匂い、するな」


甘く、わずかに掠れた声が耳元でささやく。
同じ石鹸を使ったのだから当然だ、と言いたいがうまく言葉がでない。

零の大きな手が、優しく私の頬を包む。
顔を上げた零は、再び私を見下ろして、とろけそうなくらい優しい笑みを浮かべた。




「…A、好きだよ。愛してる。…ハニートラップなんかしなくたって、俺はAが思ってる以上にお前に溺れてるんだ」





大好きな、晴れた日の空みたいに綺麗な瞳が、私を射抜く。
あぁ、ずっとこの瞳に見つめられたら、どんなに幸せだろうか。





「…零…私も好きよ。愛してる。…これだけは、真実(ほんとう)だから…」





だから覚えていて。
私が、あなたを誰よりも愛したことを。
私も、あなたに愛されたことを決して忘れないから。



「…ずっと、Aの心が欲しかったんだ。ようやく、本当の意味で俺のものになった気がする。…なぁ、A…もう、どこにも行かないでくれ…」



真っ直ぐな彼の瞳を、同じように真っ直ぐ見つめ返して。
私は返事の代わりに、零の首へと腕を回して甘く口付けた。


私の口付けを受け入れた零に、主導権を奪われて。
徐々に深くなっていく口付けに、私はただ溺れていく。


これ以上ないほど、優しく甘く溶かされて。
零のやわらかな体温と、熱い吐息にその身を委ねた。







ただただ、幸福だけを感じながら。









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そうして、後で鳥籠の中(・・・・)で思うのだ。







あの日が人生で




一番幸せで、一番哀しい日だったと。







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