episode32 ページ36
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「…た、ただいま〜…」
「おや、おかえりなさい。Aさん」
零の仕事が終わるまで、女子高生組の質問攻めに合い、途中コナンくんに裏切られながらもなんとかその場を切り抜けて。
即刻荷物をまとめてくるように、という零を工藤邸の前に停めた車の中に残し、疲れ果てて戻ってきた私を昴くんは涼しい顔で迎えた。
「彼のあの様子では、このまま戻ってこないかと思いましたよ」
「荷物を取りに戻る許可だけもらったよ…」
「なるほど」
ひとつ頷いて、昴くんは窓の外に停まっている白のRX-7を見やる。
荷物をまとめるために2階へ上がりながら、昴くんへ恨みがましい視線を送った。
「もう死ぬかと思った…」
「ちゃんとフォローまで完璧にしておいたじゃないですか」
「それはもう!しかも大筋間違ってないしね!」
「そうでしょう?」
「でもでも、キスマークはいらなかったよね!?」
「……その方が、面白いかと思いまして」
「全っ然、面白くない…!!」
洋服などを鞄に詰めこみながら言えば、入口のドアにもたれ掛かってこちらを見ていた昴くんは、肩をすくめてピッと変声機を切った。
「そう怒るな。うまくまとまったんだから、いいだろう」
「……まぁ、それはその…そうですけど…」
「安室君も、思っていた以上に君に本気のようだし。まさかあんな公衆の面前で…」
「わわわわわ…!もうそれ、勘弁してください!」
赤くなって必死に言えば、赤井さんはフッと笑って。
「愛されているようで何よりだ。……まぁ、また泣かされたら戻ってこい」
「…あ、あかいさん…!優しい!好き!」
「おや?優男が好きなんだろう?」
私が飛び付かんばかりの勢いで言えば、彼は意地悪く口角をあげた。
「赤井さんは特別です!」
「ホォー。特別、か…」
「はい!…赤井さんは、一番最初に優しくしてくれた
顔は優男じゃなくても、と笑って言えば、赤井さんも笑って。
「それは光栄だな。…ほら、そろそろ行かないと安室君がやきもきしてるぞ」
「ああぁ…!じゃあ、行ってきます!赤井さん、また!」
赤井さんの優しい笑みに見送られながら、私は一ヶ月間お世話になった工藤邸を後にした。
これからしばらく零の家に住むのかと思うと、何だか緊張する。
ドキドキと早鐘を打つ心臓をおさえながら、私は彼が待つ車へと乗り込んだ。
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ぱぱんだ(プロフ) - grenouilleさん» そんな風に言っていただけて、本当に嬉しいです…!これからも素敵な二人をお届けできるように(笑)頑張ります!(*^^*) (2018年4月27日 5時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
grenouille(プロフ) - ぱぱんださんの作品読んでると、浮気というより本気になりそうな自分がいます(笑)そのくらいぱぱんださんの書く赤井さんと降谷さんが大好きです(o^^o)ほぼ毎日、ぱぱんださんの作品読んでときめいて癒されてます(*≧∀≦*)応援してます! (2018年4月26日 23時) (レス) id: 9364f4193b (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - grenouilleさん» はじめまして、同志さん!!(笑)わー!嬉しいです(*^^*)一緒に浮気していきましょうね!(笑)更新頑張ります! (2018年4月26日 23時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
grenouille(プロフ) - はじめまして!私もアラサー、既婚者、赤井さんと降谷さんに浮気中なので、親近感を持って読ませて頂いてます(笑)優男シリーズにハマって、他の作品も拝読しました!ぱぱんださんの作品大好きです(o^^o)更新楽しみにしてます! (2018年4月26日 15時) (レス) id: 9364f4193b (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - cherryさん» わぁ、ありがとうございます!こんなに長文で感想をいただけるなんて、とても嬉しくて感動しました(*^^*)まだまだ拙い文章ですが、ご期待に添えるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします! (2018年1月14日 1時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱぱんだ | 作成日時:2017年12月24日 18時