episode20 ページ24
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夕食までにベルモットからの任務を片付け、悩みに悩んだ挙げ句、夕食後に零へのメールを返信した。
とりあえず、無事であること。
知人の家にお世話になっていること。
そしてベルモットに、うまく言っておいてくれたことのお礼と。
必要なことを簡潔にまとめて、メールを送信した。
すると、5分も経たないうちに零から返信がきた。
無事で安心したと。帰る気になったら迎えに行くから連絡が欲しい、とのことだった。
ほっと息をつく。
とりあえず、今はこれで充分だ。
顔を見る勇気はまだないので、もう少し待って欲しい。
そう思って、メールを閉じた。
メールの作成にずいぶんと頭を悩ませていたら、夜も深い時間になっていた。
お水でも、飲んでこようかな。
そう思ってキッチンまで行けば、リビングから明かりが漏れていた。
昴くんが、まだ起きているのだろうかと思ってリビングを覗きこむ。
「…おや、Aさん。起きてたんですね」
「うん。水を飲みに来たの…昴くんは晩酌?」
「えぇ。少し飲みたい気分で…Aさんもいかがですか?」
「…じゃあ、少し飲もうかな…」
彼に誘われてリビングへと入る。
私も少し飲みたい気分だ。
そうでないと、あれこれ余計なことを考えそうで眠れない。
「何、飲んでるの?」
「……バーボン、です」
よりにもよって、どうしてそのお酒なの。
お酒なんて、この世にたくさんあるじゃない。
何も、バーボンでなくたっていいじゃない。
どうして、こんなに泣きたくなるの。
何も言わなくなった私に、昴くんはひとつ呆れたようにため息をついた。
「………だからほどほどにしておけ、と言ったんだ」
「…!?」
途端、彼の口調が変わる。
そう、まるで赤井さんのようだ。
「…バーボンと聞いただけで、そんなに泣きそうな顔をして……本当に、お前は馬鹿だな」
「………あかい、さん……?」
彼が首もとをいじると、ピッと機械音が鳴る。
「気付いていただろう…沖矢昴が、俺だと」
ずっと聞きたかった赤井さんの声が聞こえて。
べり、と昴くんの顔がはがれる。
その下から現れたのは、
「…あかい、さん…っ」
ぽろぽろと涙が零れる。
よかった、生きてた。
赤井さんは、ちゃんと生きて、ここにいる。
「ほら、そんなに泣くな」
ぼろぼろ泣く私を、言葉とは裏腹に赤井さんはそっと優しく抱きしめてくれた。
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ぱぱんだ(プロフ) - grenouilleさん» そんな風に言っていただけて、本当に嬉しいです…!これからも素敵な二人をお届けできるように(笑)頑張ります!(*^^*) (2018年4月27日 5時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
grenouille(プロフ) - ぱぱんださんの作品読んでると、浮気というより本気になりそうな自分がいます(笑)そのくらいぱぱんださんの書く赤井さんと降谷さんが大好きです(o^^o)ほぼ毎日、ぱぱんださんの作品読んでときめいて癒されてます(*≧∀≦*)応援してます! (2018年4月26日 23時) (レス) id: 9364f4193b (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - grenouilleさん» はじめまして、同志さん!!(笑)わー!嬉しいです(*^^*)一緒に浮気していきましょうね!(笑)更新頑張ります! (2018年4月26日 23時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
grenouille(プロフ) - はじめまして!私もアラサー、既婚者、赤井さんと降谷さんに浮気中なので、親近感を持って読ませて頂いてます(笑)優男シリーズにハマって、他の作品も拝読しました!ぱぱんださんの作品大好きです(o^^o)更新楽しみにしてます! (2018年4月26日 15時) (レス) id: 9364f4193b (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - cherryさん» わぁ、ありがとうございます!こんなに長文で感想をいただけるなんて、とても嬉しくて感動しました(*^^*)まだまだ拙い文章ですが、ご期待に添えるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします! (2018年1月14日 1時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱぱんだ | 作成日時:2017年12月24日 18時