優男がお好き【安室・降谷/赤井】

episode17 ページ21

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あの日、謝ろうと思ってAの部屋へ行ったけれど彼女はいなかった。
あまり外出をするタイプてはなかったので、すぐに帰ってくるだろうと待っていたのだが、一晩たってもAは帰ってこなかった。

スマホに連絡を入れても何も応答せず、ついに3日前からは繋がらなくなった。

何か事件などに巻き込まれてなければいいが…。
不安ばかりが募っていく。

彼女を探してあちこち回ってみれば、タクシーで来葉峠に行ったことはわかったものの、その先の足取りがぱたりと途絶えてしまった。
まさか、赤井の後を追ったのか…なんて考えまでよぎる。

せめて、無事であることの知らせを欲しい。
すぐに迎えに行くから、どうか君までいなくならないでくれ。



自分が蒔いた種であることは百も承知で、そう願わずにはいられなかった。




****************




丸2日寝込んだあと、更に3日が経過した。
すっかり熱も下がり、体調も戻ってきたので、そろそろジンやベルモットあたりには連絡を入れないと、刺客を差し向けられかねない。
気は進まないが、スマホの電源を入れなければ。

あれから沖矢さん…否、昴くんからいろいろと話を聞いた。
まず、びしょ濡れだった私を介抱してくれたのはここの家主の奧さんである、有希子さんという人だということ。
まさか昴くんに裸を見られたのでは…と思っていたが、私が寝込んでいた間に奧さんが着替えなどやってくれていたそうだ。

次に、昴くんはここに居候をしていて、大学院生だということ。
こんな年下(ひとつだけど)で色気のある優男ありか!?と思ったが、イケメンだからもう何でもいい。いっそ好きにして、私を。

あと、私はシステムエンジニアの仕事をしていることになっている。
PCひとつあれば、ある程度のことは出来るので、どこにいても困らない。

恐る恐るスマホの電源を入れようとしたとき、ひょっこりと昴くんがやってきた。


「Aさん？お昼ご飯できましたよ」

「わ！あ、ありがとう…！ごめんね、後片付けは私がやるから」

「いいんですよ。まだ病みあがりなんですから、ゆっくりしていてください」

「昴くん…！優しい…好き！」

「はい、ありがとうございます」


この数日間で、彼は私の性格をだいぶ掴んできたようだ。

電源を入れるのは、またご飯の後にしようとそのままそっとスマホをテーブルに戻して、私は昴くんと共に部屋を後にした。



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