episode12 ページ14
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「…A、ライが…赤井秀一が死んだようです。キールに始末されたとか」
「…………え…?」
がしゃん、と持っていたマグカップが足元へ落ちて鈍い音を立てた。中身が入ってなかったのが幸いか。
「……破片、危ないですよ」
す、と私の足元へ膝をついた零が、割れたマグカップを集める。
「……ぁ……待っ、て…本当に…?」
棒立ちになったまま、うまく声が出ない私をちらり、と見上げて、彼はえぇ、となんてことのないように頷いた。
「ベルモットがその時の映像を見せてくれました。あの男を始末する時に、キールの首にカメラをつけていたようです」
「……………」
「肺に一発と頭に一発撃たれて、シボレーごと炎上しました」
「…………っ…」
ひゅっと息を飲む音さえ、かすれる。
「…震えていますね。大丈夫ですか?」
破片を片した零は、冷たい瞳で私を覗きこむ。
「…すみません、女性に聞かせるような話ではありませんでしたね」
言葉は優しくとも、そのトーンは瞳と同じように冷えたままだ。
私の手を引き、ソファに座らせると彼は私の頬をそっとなでた。
ひやり、とした手の温度が、ひどく恐ろしい。
「…ねぇ、A。僕はね、あの男があっさり死んだなんて、信じられないんですよ。きっと何かある」
「……い、生きてるかも、知れないってこと…?」
「えぇ。彼はきっと、僕にしか殺せないですよ」
そう言って、零は凄絶な笑みを浮かべた。
「あなたも、赤井が生きていると嬉しいでしょう?
……………FBI捜査官、木之瀬 Aさん?」
息が、止まるかと思った。
まるで鋭利な刃物のように、彼の声が刺さる。
名前を名乗った時から、覚悟はしていた。
たぶんそれは、彼も同じ。
でも、
どこまで彼は知ったのだろう。
「あなただって、僕の正体わかっているんでしょう?…あなたほどの腕があれば、調べられないはずはない」
あぁ、よかった。
彼が知ったのは、FBIであること
それならば、まだ大丈夫。
「……警察庁警備局警備企画課、降谷零」
「さすがですね」
にこり、と彼は笑う。
「…
この瞬間、私の彼への想いは
完全に行き場を無くした。
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ぱぱんだ(プロフ) - grenouilleさん» そんな風に言っていただけて、本当に嬉しいです…!これからも素敵な二人をお届けできるように(笑)頑張ります!(*^^*) (2018年4月27日 5時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
grenouille(プロフ) - ぱぱんださんの作品読んでると、浮気というより本気になりそうな自分がいます(笑)そのくらいぱぱんださんの書く赤井さんと降谷さんが大好きです(o^^o)ほぼ毎日、ぱぱんださんの作品読んでときめいて癒されてます(*≧∀≦*)応援してます! (2018年4月26日 23時) (レス) id: 9364f4193b (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - grenouilleさん» はじめまして、同志さん!!(笑)わー!嬉しいです(*^^*)一緒に浮気していきましょうね!(笑)更新頑張ります! (2018年4月26日 23時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
grenouille(プロフ) - はじめまして!私もアラサー、既婚者、赤井さんと降谷さんに浮気中なので、親近感を持って読ませて頂いてます(笑)優男シリーズにハマって、他の作品も拝読しました!ぱぱんださんの作品大好きです(o^^o)更新楽しみにしてます! (2018年4月26日 15時) (レス) id: 9364f4193b (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - cherryさん» わぁ、ありがとうございます!こんなに長文で感想をいただけるなんて、とても嬉しくて感動しました(*^^*)まだまだ拙い文章ですが、ご期待に添えるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします! (2018年1月14日 1時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱぱんだ | 作成日時:2017年12月24日 18時