この愛を君に。【降谷 零】

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それと、嬉しいことがもうひとつ。



「理事官、デザートもありますよ」

「……家でまで、理事官と呼ぶなと言っただろう？」


少し不貞腐れたように言う彼女に、思わず頬がゆるむ。


「…すみません、Aさん。デザート、新作のプリンですから機嫌治して下さい」

「…仕方ない。プリンで手を打とうか」


そう。名前で呼ぶことを向こうから許してくれたのだ。
いくら想い人とはいえ、上司である彼女の名前呼びはハードルが高かったのだが、思わぬ展開に俺は喜びを隠すのに必死だった。

もちろん、理事官と呼ぶなと言われただけで名前で呼べと言われたわけではないけれど、そこはあえて"九条さん"ではなく"Aさん"とさりげなく呼ぶくらいには、俺も抜かりない。


「…Aさんは、呼んでくれないんですか？…俺の名前」

「……」


思いきって、俺の名前も呼んでくれないかと聞いてみたら、何故？という顔をされた。
こっそり落ち込むが、この程度でめげていてはいけない。


「…何故、名前を？」

「呼ばれたいから…じゃ、駄目ですか？」

「………」


言葉の真意を探ろうと、漆黒の瞳が俺を捉える。
この気持ちが伝わればいい、と真っ直ぐにその瞳を見つめ返せば、わずかに絡んだ視線をほどくように顔を反らされた。


「…考えておく。それより、プリンは？」


思わず落胆のため息がこぼれる。
Aさんは俺の名前より、プリンの方が気になるらしい。



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ぱぱんだの勝手なイメージですが、降谷さんはなにかと手がかかる人が好きそうなイメージ(笑)

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