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「…うん、相変わらず旨いな」
目の前に座った上司は、もぐもぐと俺の作ったオムライスを食べて、満足気に目を細めた。
「本当に好きですよね、オムライス」
「あぁ。昔からこれには目がなくてね」
彼女の家のダイニングテーブルで向かい合わせに座り、大の大人が二人してオムライスを頬張っているのは何だか少し笑えるが、俺たちにとってはそう珍しいことではない。
家に着いて早々、彼女を風呂場へ送り込み、俺は軽く部屋の片付けをする。
元々殺風景な部屋なので大した片付けはないが、掃除機くらいはかけておく。
それから、うっかり風呂場で寝ていないか目を光らせつつオムライスを作る。もちろん、二人分。
ついでにサラダとスープも仕上げれば、そろそろ彼女がお風呂からあがってくる時間だ。
目に痛い、無防備な部屋着姿で。
これが最近の、彼女を家に送り届ける時の流れになっている。
というより、そうしたのは俺だけれど。
初めて家へと送ってきたとき、驚いたのだ。
あれだけ隙のない仕事をする人が、スーツのまま化粧も落とさずソファで寝ようとするし、冷蔵庫は空っぽで大した食事もしていないようだし、聞けば洗濯もクリーニング任せだし。
彼女の能力はすべて仕事に集中してしまっているのか、家事能力が極端に低い…というより、やる気がないように思えた。彼女の中で、家事…もとい自身の世話は優先順位が低いのだろう。
元来の世話好きである俺は、その様子に耐えきれず思わずあれこれと世話をやきはじめて、今に至る。
初めはそんなことしなくてもいい、と言っていた彼女が、最近は大人しく世話をやかせてくれるようになったことが嬉しい。
気を許してくれているのか、単にオムライスの味が気に入ったのか、いまいち推し量りかねるところだが。
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ぱぱんだ(プロフ) - 朝顔さん» はじめまして!他のぱぱんだ作品も見ていただけたようでとても嬉しいです!これからも更新頑張りますね(*^^*) (2018年6月19日 17時) (レス) id: d7440f8beb (このIDを非表示/違反報告)
朝顔 - はじめまして。どの作品もとっても素敵ですごく感情移入して読めました!!これからも応援してます! (2018年6月19日 11時) (レス) id: e330775e06 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 伏見さん» こんばんは!コメントありがとうございます(*^^*)悶えていただけるほど可愛く書けたようで、嬉しく思います(笑) そしてこちらこそ読んで下さってありがとうございます(*^^*)これからも、ぜひお付き合い下さいね! (2018年5月31日 22時) (レス) id: d7440f8beb (このIDを非表示/違反報告)
伏見(プロフ) - こんばんわ!小説読んで九条さん可愛いイイイイイイってめっちゃ悶えました...kawaiiの暴力です...こんな素敵な小説をありがとうございます!! (2018年5月31日 21時) (レス) id: 28d5c19c28 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - Kanoさん» おぉ…!何やら熱烈な告白を受けた気分になりました…!(やめなさい)ありがとうございます!そう言っていただけると、本当に励みになります(*^^*)これからも更新頑張ります! (2018年5月16日 17時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱぱんだ | 作成日時:2018年5月7日 21時