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「九条。お前のところの新人、どうにかならないのか」

「どうにか、とはどのような意味でしょう?」


彼女の部下になって数ヶ月。
退屈はさせない、と彼女が言った通り、目が回るような忙しい毎日を送っていた。
書類を抱えて警察庁の廊下を足早に進んでいたとき、上司の話し声が聞こえてきて思わず足を止める。


「…降谷とか言ったか?あの容姿は悪目立ちし過ぎだ」


この声は、九条が狸親父と称していた警察庁幹部の男だろう。

自身のこの容姿が目立つのは、重々承知している。
日本人離れしたこの外見で、今までも腐るほど苦労してきた。


「肌の色はどうにもできないが、髪は染めるとかなにかあるだろう。そういう指導をしないのか」


思わずギリ、と奥歯を噛み締める。
いつか言われるであろうことは、予想していた。
予想はしていたけれど、納得はいかない。
どんな外見であろうとも、俺はこの国に生まれ育った日本人だ。
髪や目の色だけ揃えて、何になるというのか。


「失礼ですが、私には指導の必要性を感じません」


凛と響いた声に、思わず俯いていた顔をあげる。


「彼は日本で生まれ育った、歴とした日本人です。愛国心も、公安警察官としての能力も申し分ない。そんな彼に、髪や目の色を黒くさせる理由がありますか?髪や目の色は、生まれ持ってきたもの。彼に非があるわけでもなく、また隠すようなものでもないでしょう」

「…っ…」


淡々と答える彼女の言葉に男は口をつぐみ、吐き捨てるように言った。


「いつか足元をすくわれても知らんぞ。お前も、そのよく回る口でここまできたようだが、女は大人しく男の機嫌をとっていればいいんだ」

「私が育てた部下に足元をすくわれるなら、本望ですね。…あぁ、それから。そういった女性がお好みでしたら、他をあたってください。天地がひっくり返っても私にはできそうにありませんので」


まるで意に介さない様子の九条に、男は汚い舌打ちを残して足音荒く立ち去っていく。
俺は呆然と、彼女の言葉を脳内で繰り返していた。
そんな風に言われたことも、かばってもらったことも初めてだったから。



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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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ぱぱんだ(プロフ) - 朝顔さん» はじめまして!他のぱぱんだ作品も見ていただけたようでとても嬉しいです!これからも更新頑張りますね(*^^*) (2018年6月19日 17時) (レス) id: d7440f8beb (このIDを非表示/違反報告)
朝顔 - はじめまして。どの作品もとっても素敵ですごく感情移入して読めました!!これからも応援してます! (2018年6月19日 11時) (レス) id: e330775e06 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 伏見さん» こんばんは!コメントありがとうございます(*^^*)悶えていただけるほど可愛く書けたようで、嬉しく思います(笑) そしてこちらこそ読んで下さってありがとうございます(*^^*)これからも、ぜひお付き合い下さいね! (2018年5月31日 22時) (レス) id: d7440f8beb (このIDを非表示/違反報告)
伏見(プロフ) - こんばんわ!小説読んで九条さん可愛いイイイイイイってめっちゃ悶えました...kawaiiの暴力です...こんな素敵な小説をありがとうございます!! (2018年5月31日 21時) (レス) id: 28d5c19c28 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - Kanoさん» おぉ…!何やら熱烈な告白を受けた気分になりました…!(やめなさい)ありがとうございます!そう言っていただけると、本当に励みになります(*^^*)これからも更新頑張ります! (2018年5月16日 17時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぱんだ | 作成日時:2018年5月7日 21時

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