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story16 ページ21

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「…降谷?…怒っているか…?」


黙りこくった俺を、Aさんは遠慮がちに覗き込んで来る。

いつもブレない芯の強い漆黒の瞳が、わずかに揺れて俺をうつす。


「……怒ってますよ」


まっすぐその瞳を見返せば、彼女は珍しく申し訳なさそうに眉を下げた。


「すまない。安室透には恋人がいない設定だったと思って…勝手をして悪かった」

「違います。俺が怒ってるのはそこじゃない」

「…?」


きょとん、と目を瞬かせるAさんの手をぎゅ、と握る。


「…ねぇ、Aさん。本当にわからないんですか?」

「…降谷…?」


Aさんが戸惑っているのがわかっていたけれど、俺はゆっくりと繋いだ手の指と指をそっと絡めていく。


「俺は、何度も言ってますよね?…Aさんだから(・・・)、と」

「…それ、は…」

「ただの上司と部下じゃ、俺はもう嫌なんです」

「………」


逃げるようにわずかに身をひいた彼女を捕らえるように、指を絡めて繋いだ手をぐっと握りしめる。


「今まで付き合ってた男共なんかと、俺を一緒にしないで下さい。俺は何があろうとも、あなたの傍を離れるつもりはありません」

「……ふる、や…」


いつもの様子とはずいぶんとかけ離れた、か細い声で俺を呼ぶAさんがいとおしくて。
名前でないのが残念だったけれど、思わず彼女を抱きしめる。


「すぐに答えを欲しいとは言いません。…ただ、俺の気持ちを知っていて欲しい。俺はAさんのことを、誰より大切に想っているんです」


そう言って、体を離してその瞳を覗き込めば、わずかに朱に染まったAさんはこくん、とひとつ頷いた。


「…わか、った…」


その様子にほっと息をついて、艶やかな漆黒の髪にちゅ、と口づけを落とす。


「!?」

「…よかった。返事はもちろんいつでも構いませんけど…俺、もう遠慮しませんから。嫌なら全力で逃げて下さいね?」


にっこりとそう告げれば、Aさんはひきつった笑みを浮かべて、早速俺の視線から逃げたのだった。


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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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ぱぱんだ(プロフ) - 朝顔さん» はじめまして!他のぱぱんだ作品も見ていただけたようでとても嬉しいです!これからも更新頑張りますね(*^^*) (2018年6月19日 17時) (レス) id: d7440f8beb (このIDを非表示/違反報告)
朝顔 - はじめまして。どの作品もとっても素敵ですごく感情移入して読めました!!これからも応援してます! (2018年6月19日 11時) (レス) id: e330775e06 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 伏見さん» こんばんは!コメントありがとうございます(*^^*)悶えていただけるほど可愛く書けたようで、嬉しく思います(笑) そしてこちらこそ読んで下さってありがとうございます(*^^*)これからも、ぜひお付き合い下さいね! (2018年5月31日 22時) (レス) id: d7440f8beb (このIDを非表示/違反報告)
伏見(プロフ) - こんばんわ!小説読んで九条さん可愛いイイイイイイってめっちゃ悶えました...kawaiiの暴力です...こんな素敵な小説をありがとうございます!! (2018年5月31日 21時) (レス) id: 28d5c19c28 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - Kanoさん» おぉ…!何やら熱烈な告白を受けた気分になりました…!(やめなさい)ありがとうございます!そう言っていただけると、本当に励みになります(*^^*)これからも更新頑張ります! (2018年5月16日 17時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぱんだ | 作成日時:2018年5月7日 21時

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