story11 ページ13
.
「突然来るから、驚きましたよ」
「ふふ、驚かそうと思って」
「紅茶でいい?」
「うん」
とりあえず無難な会話をしながら、彼女の好きな紅茶を手に取る。
Aさんは職場では強めのカフェイン摂取が目的なので、コーヒーばかり飲んでいるが実は紅茶の方が好きなのも把握済みだ。
子供たちに出すケーキは仕上げて、梓さんへ。
「ケーキも食べます?」
「…透くんが作ったの?」
「もちろん」
じゃあ食べようかな、と頬笑むAさん。
恋人同士の甘い会話のようだが、実のところ滅多に人が作ったものを口にしない公安である俺たちの、確認のような会話だ。
まぁその事実を差し引いても、俺が作ったものを食べてくれるのは非常に嬉しい。
「安室さん、料理もスイーツ作りも上手ですもんね!すごくおいしいし!…あ、私、一緒に働いている榎本梓っていいます」
再びお盆を手に戻ってきた梓さんの言葉に、Aさんはやわらかく微笑んで。
「藤堂 Aです。透くんがお世話になってます」
「そんな!お世話になってるのはこちらです…!」
なるほど、苗字だけ変えるパターンか。
ひとり納得しながら、Aさんの分のケーキを仕上げる。
ちなみに素知らぬふりをしているが、赤井とコナンくんが聞き耳を立てているのは確実だろう。
「Aお姉さまっていうんですね!私、鈴木園子って言います!」
「あ、私は毛利蘭です!」
「よろしくね」
梓さんと女子高生組と挨拶を交わしたところで、子供たちがついにしびれを切らしたかのようにやってくる。
「お姉さん!僕たちは少年探偵団です!」
「少年探偵団?」
「はい!僕は円谷光彦といいます」
「私は吉田歩美!」
「俺は小嶋元太!んで、あそこにいるのが…灰原と、」
「江戸川コナンだよ。こっちは大学院生の沖矢昴さん」
どうも、とにこりと笑う沖矢にAさんも笑顔を返す。
「みんなとても元気ね。どうぞよろしく」
Aさんの返答に、子供たちは元気にはーい、と返事をして自己紹介を終えた。
「それにしても…安室さんに、恋人がいたなんて…ボク、初めて知ったよ!」
「確かに、今までそんな素振りなかったわねぇ」
コナンくんが何やら探るような目でこちらを見ながら言った言葉に、園子さんが頷く。
.
1362人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぱぱんだ(プロフ) - 朝顔さん» はじめまして!他のぱぱんだ作品も見ていただけたようでとても嬉しいです!これからも更新頑張りますね(*^^*) (2018年6月19日 17時) (レス) id: d7440f8beb (このIDを非表示/違反報告)
朝顔 - はじめまして。どの作品もとっても素敵ですごく感情移入して読めました!!これからも応援してます! (2018年6月19日 11時) (レス) id: e330775e06 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 伏見さん» こんばんは!コメントありがとうございます(*^^*)悶えていただけるほど可愛く書けたようで、嬉しく思います(笑) そしてこちらこそ読んで下さってありがとうございます(*^^*)これからも、ぜひお付き合い下さいね! (2018年5月31日 22時) (レス) id: d7440f8beb (このIDを非表示/違反報告)
伏見(プロフ) - こんばんわ!小説読んで九条さん可愛いイイイイイイってめっちゃ悶えました...kawaiiの暴力です...こんな素敵な小説をありがとうございます!! (2018年5月31日 21時) (レス) id: 28d5c19c28 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - Kanoさん» おぉ…!何やら熱烈な告白を受けた気分になりました…!(やめなさい)ありがとうございます!そう言っていただけると、本当に励みになります(*^^*)これからも更新頑張ります! (2018年5月16日 17時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぱぱんだ | 作成日時:2018年5月7日 21時