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【海】変わらぬ愛を君に。 ページ45

※本編後日談




「あーもー!なんでこうなるの〜!」


夜の警察庁に悲痛な声が響いた。
がくっとデスクに突っ伏した私に、風見くんが気遣わしげな視線を寄越す。


「如月さん、すみません…お力になれず…」

「…いいの…これは私が担当した案件だったから…風見くんは何も悪くない…」


では何が悪いのかっていうと、私の帰るタイミングが悪かったのだろう。
今日は定時を1時間ほど過ぎたあたりで仕事を切り上げ、いそいそと帰ろうとしたところに上司に呼び止められた。
嫌な予感がしたが無視をするわけにもいかず、彼のデスクへ向かえば、明日の朝必要だという急ぎの書類を頼まれたのだ。

今夜は零と約束をしていて。
本当ならば今ごろ一緒に、レストランでディナーを食べていただろう。
今日は終日潜入先の予定だった零に、泣く泣く断りの連絡を入れれば、彼もベルモットから急な呼び出しを受けて、彼女の元へ行かなければならないとの返答がきた。
じゃあどっちにしろレストランディナーは無理だったのか、とさらに落ち込んだのが2時間ほど前の話だ。


「…ですが、今日は如月さんの…」

「…いいの。仕事だもん、仕方ないよね…」


騒いでごめんね、と風見くんに謝って、私は再びパソコンに向き合った。
せめて少しでも早く終わらせて、今日は家でゆっくりしよう。


カタカタとキーボードを叩く音だけが響く中、風見くんのスマホが震えた。
着信相手の名前を確認した風見くんが、失礼しますと言ってスマホ片手に席を外していく。

その様子をちらりと見て、私はまたパソコンに集中する。
相手は彼女かな、とかちょっと思いながら。




「…お、終わった…!」


それからさらに2時間ほど経過した頃、無事に書類の作成を終えた私は大きく伸びをした。


「お疲れ様でした。これどうぞ」

「わ、ありがとう!」


風見くんがナイスタイミングで、私がいつも飲んでるカフェオレをくれる。

本来なら休憩所で飲まなければならないが、残業組はいつもデスクで飲んだり、夜食を食べたりしている。
そのくらい多目に見てもらわなければ、とてもじゃないがやっていられない。


「美味しい〜生き返る〜」

「それはよかったです」


そのまま缶コーヒー片手に少し談笑をしてれば、ちらりと彼の視線が壁に掛かった時計を捉えた。



.

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ぱぱんだ(プロフ) - grenouilleさん» いつもありがとうございます(*^^*)そうなんです、作品数が増えてきて自分でもわからなくなってきて(笑)ついにまとめました(*^^*)これからも可愛い夢主目指して頑張ります! (2018年5月17日 12時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
grenouille(プロフ) - ぱぱんださんの作品は大好きだから全部読んだと思っていたら、今朝、まとめてくださってたので、こちらを見つけられました!花・海シリーズも優男も本当に大好きです!ぱぱんださんの夢主はほんとにかわいいです!忙しいでしょうけど、今の作品も応援してます^ ^ (2018年5月17日 10時) (レス) id: 9364f4193b (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 笑顔の似合う少女。さん» 有り難いお言葉ありがとうございます!寂しいだなんて…!頑張ります!(笑) (2018年2月8日 18時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 湯葉さん» ファンだなんてありがとうございます…!そしてリクエストもありがとうございます。例の発信器ですね(笑)かしこまりました!ぜひ、書かせていただきます! (2018年2月8日 18時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
笑顔の似合う少女。(プロフ) - 番外編の続編も悪くないと思います!むしろ、このまま終わっちゃうのは、寂しいです(笑) 続編、作っていただけると嬉しいです! (2018年2月8日 18時) (レス) id: c8e9e68a05 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぱんだ | 作成日時:2017年11月11日 11時

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