花または海のような人【番外編】

【花】手をつなごう。2 ページ41

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家を出れば、秀一さんは腕を掴んでいた私の手をそっと外し、代わりにぎゅっと手をつないだ。


「転んだりしたら、大変だからな」

「ありがとうございます」


私は嬉しくなって、笑顔でその手を握り返す。
彼の大きな左手はとてもあたたかくて、すごく安心する。


「Aは、手をつなぐのが好きだな」

「はい。つながってるのは手だけなのに、すごく心まであったかくなる気がして…」


そう話をしながら、ゆっくりゆっくり歩いて行く。
秀一さんの長い足も、私に合わせてゆったりと進む。


「ふむ。確かにそうかもしれない」

「だから、この子たちが生まれたら、いっぱい手をつないであげたいんです」


空いてる片手でそっとお腹を撫でる。
その姿を見て、秀一さんはやわらかく目を細めて、いいな、と優しく呟いた。


「たくさん、つなごう。手をつないで、どこへだって連れてってやろう」


近所のスーパーだって、コンビニだって。
はたまた、海の向こうのおばあちゃんや叔父さんたちのところだって、どこへでも。

4人で手をつないで行ったら、それだけでなんだか特別な場所になる気がするのだ。



「ふふ、楽しみですね」

「あぁ、待ち遠しいな」




つないだ手のぬくもりに、あたたかな未来を想像して。


私たちはそっと、微笑みあった。





fin.
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シリアスなものを書いていたら、妙にほのぼのしたものが書きたくなって(笑)

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