【花】年越しは家族で。3 ページ39
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ひどく穏やかで、それでいて賑やかな様子を微笑ましく眺めながらお腹をさする。
あなたたちが産まれてきたら、更に幸せで賑やかになる。楽しみね。
そう語りかけた時、
「あっ」
「どうした?」
私が漏らした小さな呟きを素早く拾った秀一さん。将棋に夢中だったはずでは。
「いえ、今お腹を蹴ったので…」
「そうか、パパを応援してく…」
「えっ、触ってもいい?」
「僕も!」
「私も!」
嬉しそうな秀一さんを遮り、女性陣に囲まれてしまう。
「…往生際が悪いって、言われたんじゃないのか?」
「俺の息子たちに限ってそんなことは…」
「息子たち?」
首をかしげる秀吉くんに、秀一さんは笑って。
「あぁ、まだ秀吉には言ってなかったか。双子なんだよ、男女の」
「えぇっ!?」
「なんだ、吉兄知らなかったのか?あっ、また動いた!」
たくさんの手が、お腹を優しく撫でてくれる。
「楽しみだね〜」
「待ってるよ〜」
「来年も、良い年になりそうだな」
「はい!」
お母さんの言葉に大きく頷けば、どうやら負けを認めたらしい秀一さんが私の隣へやってきた。
「…さすがに名人には敵わないか…」
「ふふ、残念でしたね」
「あとで零君とも対局してみたいな」
「……それはなんというか…長い勝負になりそうですね」
「何、お前たちが応援してくれたら百人力さ」
ちゅ、と私の髪にキスを落としながらお腹を優しく撫でる秀一さんの後ろで、零ちゃんが凄い形相で振り向く。
「俺に簡単に勝てると思うなよ!」
「ホォー、楽しませてくれるのかな?」
「すぐにその口から参ったって言わせてやる!!」
「…あーあ、また始まった…」
「本当に。二人とも飽きないわね」
私とゆきちゃんは顔を見合わせて苦笑する。
いつも通りで、いつも以上に幸せだ。
こんなに賑やかな年越しは初めてで、これが始まりになるのだろう。
来年も、再来年も、ずっとずっと。
増えていく家族と共に、こうして過ごせたら。
そう願いながら、除夜の鐘の音をBGMに私は家族の笑い声を聞いていた。
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今年の11月から占ツクにお邪魔するようになり…たくさんの読者様に恵まれてとても嬉しかったです!
来年も、どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m
2017.12.31 ぱぱんだ
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ぱぱんだ(プロフ) - grenouilleさん» いつもありがとうございます(*^^*)そうなんです、作品数が増えてきて自分でもわからなくなってきて(笑)ついにまとめました(*^^*)これからも可愛い夢主目指して頑張ります! (2018年5月17日 12時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
grenouille(プロフ) - ぱぱんださんの作品は大好きだから全部読んだと思っていたら、今朝、まとめてくださってたので、こちらを見つけられました!花・海シリーズも優男も本当に大好きです!ぱぱんださんの夢主はほんとにかわいいです!忙しいでしょうけど、今の作品も応援してます^ ^ (2018年5月17日 10時) (レス) id: 9364f4193b (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 笑顔の似合う少女。さん» 有り難いお言葉ありがとうございます!寂しいだなんて…!頑張ります!(笑) (2018年2月8日 18時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 湯葉さん» ファンだなんてありがとうございます…!そしてリクエストもありがとうございます。例の発信器ですね(笑)かしこまりました!ぜひ、書かせていただきます! (2018年2月8日 18時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
笑顔の似合う少女。(プロフ) - 番外編の続編も悪くないと思います!むしろ、このまま終わっちゃうのは、寂しいです(笑) 続編、作っていただけると嬉しいです! (2018年2月8日 18時) (レス) id: c8e9e68a05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱぱんだ | 作成日時:2017年11月11日 11時