【企画】海のChristmas. ページ34
※本編後日談
「…ジングルベールジングルベール、すっずがなるぅ〜…」
「如月。馬鹿なことやってないで、働け」
デスクに突っ伏した私に、零は容赦ない。
本日は世間が浮かれ騒ぐクリスマス。そして時刻は23時。そう、もうあと一時間もすればクリスマスは終わってしまうのだ。
零と恋人になって初めてのクリスマス。
忙しいのはわかっていたが、少し期待していたのだ。
零も満更でもなさそうで、一緒にトロピカルランドの大きなクリスマスツリーを見に行く約束までしてくれていたのに。
「…なんで私たち、仕事してるかなぁ…」
「仕方ないだろ。急な案件が舞い込んできたんだから」
くそ、このワーカーホリックめ!知ってたけど!
「ほら、早く終わらせて帰るぞ」
「はーい」
トロピカルランドはもう閉まってしまったが、せめて家には帰りたい。
今日ばかりは、このまま警察庁にお泊まりは勘弁してほしい。心が折れる。
「…あーあ。絶対、赤井さんは姉さんの美味しいクリスマスディナーを食べて、しっぽり過ごしてるに違いない。むかつく」
「それには同感だ」
彼に否のない怒りをぶつけつつ、仕事を片付ける。荒んでいるのだ、多少の暴言は許してほしい。
仕事を終えて、警察庁を後にする。
チキンが食べたいと私が騒いで、コンビニに寄って売れ残りのクリスマスチキンとつまみを購入した。
そのまま私の部屋へ行くかと思いきや、何やらいつもと道が違うことに不思議に思って、隣で運転している零を見れば、今日はウチ。と彼は言ってハンドルをきった。
彼は大抵私の部屋へやって来るので、零の部屋は数えるくらいしか来たことがない。
どうして今日は、零の部屋なんだろう。
そう思っていたら、零はリビングに置いてあった大きめの箱を差し示した。
「俺はつまみ作ってくるから、Aはそれやっといて」
「?…うん…」
言われて箱を開けてみれば、そこには
「零!これっ!」
思わず興奮してキッチンにいる零を見れば、彼は優しく笑っていて。
「トロピカルランドのツリーには敵わないけどな」
「そんなことない!すごく…すごく嬉しい」
思わずかけよって、零に口付ける。
彼は笑いながらしっかりと私を抱きとめて、優しいキスを返してくれた。
時刻はとうに24時を回っていたけど、この際関係ない。
零の美味しいつまみと、コンビニのチキンと、この素敵なクリスマスツリーがあれば。
それはとても、素敵なクリスマスだ。
fin.
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ぱぱんだ(プロフ) - grenouilleさん» いつもありがとうございます(*^^*)そうなんです、作品数が増えてきて自分でもわからなくなってきて(笑)ついにまとめました(*^^*)これからも可愛い夢主目指して頑張ります! (2018年5月17日 12時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
grenouille(プロフ) - ぱぱんださんの作品は大好きだから全部読んだと思っていたら、今朝、まとめてくださってたので、こちらを見つけられました!花・海シリーズも優男も本当に大好きです!ぱぱんださんの夢主はほんとにかわいいです!忙しいでしょうけど、今の作品も応援してます^ ^ (2018年5月17日 10時) (レス) id: 9364f4193b (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 笑顔の似合う少女。さん» 有り難いお言葉ありがとうございます!寂しいだなんて…!頑張ります!(笑) (2018年2月8日 18時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 湯葉さん» ファンだなんてありがとうございます…!そしてリクエストもありがとうございます。例の発信器ですね(笑)かしこまりました!ぜひ、書かせていただきます! (2018年2月8日 18時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
笑顔の似合う少女。(プロフ) - 番外編の続編も悪くないと思います!むしろ、このまま終わっちゃうのは、寂しいです(笑) 続編、作っていただけると嬉しいです! (2018年2月8日 18時) (レス) id: c8e9e68a05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱぱんだ | 作成日時:2017年11月11日 11時