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【企画】花のChristmas. ページ33

※続編後日談



少しカーテンを開けて窓の外を見やれば、暗くなった空から、はらはらと雪が舞っていた。
ホワイトクリスマスだな、とぼんやり思いながらカーテンを閉める。
今夜は、先日結婚したばかりの旦那様がやって来る予定だ。
すでに帰宅予定時刻を一時間ほど過ぎているが、忙しいのだろうか。
忙しいのなら、別に今日にこだわらなくてもいいのだ。
無事でいてさえくれれば。いつだって、やり直せるから。
連絡もないことに不安を覚えつつ、スマホへと目をやった時、ガチャリと玄関が開いた。


「すまない、連絡もなしに遅くなって…」


開口一番、謝る彼の腕の中に思わず飛び込めば、ひやりと冷たいものが頬に触れた。
彼の服についていた雪だろうか。

「大丈夫です。おかえりなさい、秀一さん」

「あぁ。ただいま、A」

ぎゅう、と抱きしめられて。
そっと優しいキスが降りてくる。

「スマホの充電が切れてしまって…心配をかけたか?」

「…少し…」

抱きついた手前、もうバレているだろうから素直に頷けば、額に宥めるようなキスが降りてくる。

「すまなかった。次からは気を付ける」

「そんな…大丈夫です。少しのことで不安になってすみません…」

優しい秀一さんに思わず眉を下げれば、彼は笑って。

「何、愛されてて俺は嬉しい限りだ」

おどけたように言う彼に、思わず笑みがこぼれる。

「秀一さん、ありがとうございます。…お腹すいてませんか?今日はクリスマスなので、ケーキもありますよ」

「ホォー、それは楽しみだな」

コートを脱ぎながらリビングへ入る彼と別れて、キッチンへ立つ。
料理を温め直して、食卓へ並べれていれば、何やらリビングでごそごそしている彼に気付く。

「…秀一さん?……あら!」

「どうだろう?小さいが雰囲気が出れば、と思ってな」

そこには、大人の膝下くらいの大きさのクリスマスツリーが飾られていた。

「可愛い!すごく素敵です!」

思わずはしゃいでツリーと彼の元へ近寄れば、秀一さんは笑って私の肩を抱き寄せる。

「イギリスもアメリカも、クリスマスは家族と過ごすものと決まっていた。もう何年も縁遠い行事になってしまっていたが、今年は君という家族ができたからな。こうしてツリーを囲んで食事をするのもいいだろう」

「はい!」

彼の言葉に満面の笑みで応えれば、彼も嬉しそうに笑って。



「Merry christmas」






優しい口付けと共に、聖なる夜は穏やかに更けていった。




fin.

【企画】海のChristmas.→←【クリスマス企画】



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ぱぱんだ(プロフ) - grenouilleさん» いつもありがとうございます(*^^*)そうなんです、作品数が増えてきて自分でもわからなくなってきて(笑)ついにまとめました(*^^*)これからも可愛い夢主目指して頑張ります! (2018年5月17日 12時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
grenouille(プロフ) - ぱぱんださんの作品は大好きだから全部読んだと思っていたら、今朝、まとめてくださってたので、こちらを見つけられました!花・海シリーズも優男も本当に大好きです!ぱぱんださんの夢主はほんとにかわいいです!忙しいでしょうけど、今の作品も応援してます^ ^ (2018年5月17日 10時) (レス) id: 9364f4193b (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 笑顔の似合う少女。さん» 有り難いお言葉ありがとうございます!寂しいだなんて…!頑張ります!(笑) (2018年2月8日 18時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 湯葉さん» ファンだなんてありがとうございます…!そしてリクエストもありがとうございます。例の発信器ですね(笑)かしこまりました!ぜひ、書かせていただきます! (2018年2月8日 18時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
笑顔の似合う少女。(プロフ) - 番外編の続編も悪くないと思います!むしろ、このまま終わっちゃうのは、寂しいです(笑) 続編、作っていただけると嬉しいです! (2018年2月8日 18時) (レス) id: c8e9e68a05 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぱんだ | 作成日時:2017年11月11日 11時

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