【花】続・愛しいもの。2 ページ29
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ジト目のゆきを見ないふりして、住所を頼りに赤井家を目指す。
身重の体で迎えなどの気を遣わせては、と思って何の連絡も入れずに来てしまった。
姉さんの顔さえ見れれば、それでいいのだ。
目的のマンションにたどり着いた時、後ろから聞きなれた…けれど懐かしい声がかかる。
「…え?零ちゃん?ゆきちゃん?」
振り返れば、買い物帰りの様子な姉さんが目を丸くして立っていた。
「「姉さん!!」」
「…うそ、本当に?ここアメリカよね…?」
「姉さんに会いたくなって、来ちゃったの!」
「…姉さん、久しぶり…」
「…久しぶりね、二人とも来てくれて嬉しいわ。ここじゃなんだからあがって?」
「荷物持つよ。買い物なんて行って大丈夫なのか?」
「軽い物を少しだけよ。気分転換に散歩がてら行ってきたの。重いものとかは、秀一さんが休みの時にまとめて買うようにしてるから」
「当然だな」
俺の言葉に二人は笑いながらマンションへと入る。
「どうぞ。…それにしても、二人とも荷物少ないわね。しかもスーツのままだし…」
「仕事終わりにそのまま飛行機に飛び乗ったからな」
「明日には帰らなきゃいけないし…」
「まぁ…無理して来てくれたのね」
「そんなことない。無性に姉さんの顔が見たくなったんだ」
「ふふ、ありがとう」
俺たちをリビングに通して、姉さんはキッチンへと向かう。
「あ、手伝うよ!」
ゆきが後を追いかけて、飲みものの準備をしているようだ。
俺はふと、ここが二人の家か…と思ってくるりとリビングを見回せば、そこにはいつかの家族写真が飾られていた。
思わず、頬が緩む。なんとも幸せそうな家族だ。
ここにまた一人、増えることになるのか。
「えー、さすが兄さん!過保護!」
「でしょう?大丈夫って言ってるんだけど…」
リビングでゆきが騒いでる。
赤井の話なんてつまらないが、姉さんを大事にしてるならそれでいい。むしろ過保護当然だ。
「ちょっと電話してくるわね。二人ともくつろいでて…あ!今日はうちに泊まっていくわよね?」
「え?いや、そんな…」
「もうホテル取っちゃった?」
「…いや…まだだけど…」
「じゃあいいじゃない!部屋ならあるから、遠慮しないで」
そう言って、姉さんは電話片手に席を外した。
赤井に連絡するのだろうか。
さすがにあいつも、突然俺たちがいたら驚くだろうな。
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ぱぱんだ(プロフ) - grenouilleさん» いつもありがとうございます(*^^*)そうなんです、作品数が増えてきて自分でもわからなくなってきて(笑)ついにまとめました(*^^*)これからも可愛い夢主目指して頑張ります! (2018年5月17日 12時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
grenouille(プロフ) - ぱぱんださんの作品は大好きだから全部読んだと思っていたら、今朝、まとめてくださってたので、こちらを見つけられました!花・海シリーズも優男も本当に大好きです!ぱぱんださんの夢主はほんとにかわいいです!忙しいでしょうけど、今の作品も応援してます^ ^ (2018年5月17日 10時) (レス) id: 9364f4193b (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 笑顔の似合う少女。さん» 有り難いお言葉ありがとうございます!寂しいだなんて…!頑張ります!(笑) (2018年2月8日 18時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 湯葉さん» ファンだなんてありがとうございます…!そしてリクエストもありがとうございます。例の発信器ですね(笑)かしこまりました!ぜひ、書かせていただきます! (2018年2月8日 18時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
笑顔の似合う少女。(プロフ) - 番外編の続編も悪くないと思います!むしろ、このまま終わっちゃうのは、寂しいです(笑) 続編、作っていただけると嬉しいです! (2018年2月8日 18時) (レス) id: c8e9e68a05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱぱんだ | 作成日時:2017年11月11日 11時