【花】愛しいもの。3 ページ26
.
「どうした!?大丈夫か!?」
慌てた声の秀一さんが駆け寄ってきて、背中をさすってくれる。
「…っ、だい、じょぶ…です…」
「大丈夫じゃないだろう!?無理をするな!」
「…ぅ…っ」
「…A…っ」
吐き気が治まるまで、秀一さんは心配そうに私の背をさすり続けてくれた。
口をゆすいでから、ようやく私は顔をあげる。
「…秀一さん、すみません。もう大丈夫です」
「大丈夫じゃないだろう、顔色も悪い」
私の大丈夫、を一切信用していないらしい秀一さんは、私を抱き上げてソファへと運んでくれる。
「わわ、大丈夫ですって。ちょっと吐きっぽくなっただけで…」
「いつからだ。いつから、具合が悪いんだ?まさか今日男に変なことでも…」
私をソファへ下ろして、彼は真剣な目で私を問い詰める。
この目を前にして、嘘などつけるはずがない。
さすがはFBI捜査官である。
「…ち、違います!…えと、その……一週間…くらい前から、です…」
「一週間!?」
「あぁ、その、ずっと具合が悪かったというわけじゃなくて、なんとなくおかしいな…と」
はぁ、と深いため息をつかれる。
うぅ、こんな形で話をする予定ではなかったのに。
「どうして早くに言わない。俺が忙しかったからか」
「…や、その…まぁそれも少しはありますけど…たぶん病気ではないから大丈夫かと…」
「どういうことだ。一週間も前から不調で、今だってこんなに具合が悪そうなのに」
眉をひそめて、そっと頬を撫でられる。
心から心配してくれているのが伝わってくる。
「…その…思い当たることがあって…今日、これ買ってきました」
棚に終っておいた箱を、ずい、と秀一さんに見せる。
箱を手にした秀一さんが、目を丸くした。
珍しく驚きで固まっている。
「………………妊娠、検査薬……?」
「はい」
私がしっかりと頷けば、戸惑いと期待の入り交じった声音で、秀一さんは先を促す。
「……それで、その、どうだった?検査したのか?」
「ふふ、陽性でした。ちゃんとお医者さんに診てもらわないと確実とは言えませんが…ほぼ間違いないかと」
「…A…っ!」
ぎゅう、と抱きしめられる。
私も嬉しくて、秀一さんの背に手を回した。
.
404人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぱぱんだ(プロフ) - grenouilleさん» いつもありがとうございます(*^^*)そうなんです、作品数が増えてきて自分でもわからなくなってきて(笑)ついにまとめました(*^^*)これからも可愛い夢主目指して頑張ります! (2018年5月17日 12時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
grenouille(プロフ) - ぱぱんださんの作品は大好きだから全部読んだと思っていたら、今朝、まとめてくださってたので、こちらを見つけられました!花・海シリーズも優男も本当に大好きです!ぱぱんださんの夢主はほんとにかわいいです!忙しいでしょうけど、今の作品も応援してます^ ^ (2018年5月17日 10時) (レス) id: 9364f4193b (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 笑顔の似合う少女。さん» 有り難いお言葉ありがとうございます!寂しいだなんて…!頑張ります!(笑) (2018年2月8日 18時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 湯葉さん» ファンだなんてありがとうございます…!そしてリクエストもありがとうございます。例の発信器ですね(笑)かしこまりました!ぜひ、書かせていただきます! (2018年2月8日 18時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
笑顔の似合う少女。(プロフ) - 番外編の続編も悪くないと思います!むしろ、このまま終わっちゃうのは、寂しいです(笑) 続編、作っていただけると嬉しいです! (2018年2月8日 18時) (レス) id: c8e9e68a05 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぱぱんだ | 作成日時:2017年11月11日 11時