花または海のような人【番外編】

【花】ウワサのHoney.2 ページ18

.



どういう意味だろう、と首をかしげれば、キャメルさんは笑って。

「赤井さんが日本から奥さんを連れて帰ってきたことにみんな驚いて。あの赤井さんを骨抜きにしたHoneyは、どんな人だってウワサになってまして…」

「…そ、そんなことになってたんですね…」

恥ずかしいやら何やらで思わず縮こまる。
あ、でも実物見てがっかりされたらどうしよう。行くのが怖くなってきた。

「荷物、持ちますよ。何だかたくさんですね」

「あ、すみません…食べ物も入っているので…」

「そういえば赤井さん、Aさんのご飯が食べたいってずっと言ってましたよ」

「本当ですか？良かった…」

キャメルさんと話をしながら歩いて行けば、ついに秀一さんの職場へと着いてしまう。
みんな何日も泊まり込みをしているようで、場の空気が重い。
こんなときに来てしまって、よかったのだろうか。
緊張と不安に苛まれつつ、キャメルさんの後ろに控える。


「あれ？赤井さんは？」

「赤井なら上に呼び出されて席外してるよ。すぐ戻ると思うけど…って後ろの女の子誰だ？」

私に気付いた同僚の声に、いくつかの視線が刺さる。

「女の子って…この人は…」

「あら？Aじゃない！久しぶりね〜！」

キャメルさんが私を紹介しようとしてくれた所に、ジョディさんが駆け寄ってきた。

「お久しぶりです、ジョディさん」

「なんだ、ジョディの知合いか？可愛い子じゃねぇか。紹介しろよ」

「ばっかねぇ。頭撃ち抜かれても知らないわよ？この子は、赤井A。シュウのwifeなんだから！」

「「「な、なにぃ！？」」」

驚きに固まる同僚たちに、ジョディはふふんと微笑んで。

「Aはベビーフェイスだけど、シュウと同い年のれっきとしたレディよ。あのシュウを骨抜きにしたんだから！」

「…シュウと同じ年！？うそだろ…」

「マジか…」

「ティーンに見えるぜ…」

うちの姉弟はそろって童顔だとよく言われるので、この反応にはもう慣れたものだ。
もはや苦笑を浮かべるしかない。

「…赤井Aです。主人がお世話になっております」

ぺこりと頭を下げて挨拶すれば、おぉ、これがおじぎか！と変な所で感動された。

「いやー、ホント可愛いな！赤井にはもったいない！」

「なぁなぁ、シュウとのなれそめは？」

「いや、むしろシュウの家での様子が気になる！」

「あの仏頂面がデレデレなんだろ？想像できねぇ！」

あっという間に彼の同僚たちに囲まれてしまう。

【花】ウワサのHoney.3→←【花】ウワサのHoney.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す