【花】眠れない夜は。4 ページ13
.
「…ふふ、なんかいいですね。私、ずっと寝なきゃ寝なきゃって思ってて…こうして夜通し話をするなんて、思い付きませんでした」
「こんな夜も、たまにはいいだろう…今度俺が眠れない時は、付き合ってくれるか?」
「はい!もちろんです」
頬笑むAに口付けて。
それからも他愛のない話を続けながら、時折口付けたり、頭を撫でたりしていれば、だんだんとAの瞼が下がってくる。
「…大丈夫だ。傍にいるから、ゆっくり眠るといい」
膝の上にAの頭を乗せて、やわらかな髪を優しく撫でていく。
その日Aは、久方ぶりに穏やかな眠りについた。
「…起きたか。ちょうど起こしに行こうかと思ってたんだ」
「…ん…遅くなってごめんなさい…」
寝室から目を擦りつつ出てきたAに、声をかける。
あの夜から、Aは悪夢を見る回数が格段に減り、今ではすっかり眠れるようになっていた。
「謝ることはない。朝食できてるぞ。食べれるか?」
「はい、ありがとうございます」
よく眠れるようになってからは、食欲も戻ってきて、ずいぶん顔色もよくなった。
「わ、美味しそう。秀一さん、お料理上手になっててびっくりしました」
「料理も有希子さんに教わったんだ。やってみたら案外楽しくてな。いつも、Aが料理してる姿を思い出しながらやっていた」
「…そうだったんですか…」
眠れない夜を越えて訪れた、穏やかな朝。
降り注ぐ、やわらかな陽の光が優しく二人を包む。
「あぁ、いけない。忘れるところだった」
「?何をですか…?」
「朝の挨拶さ」
そう言って、ちゅ、と唇を啄めばAは頬を染めて、やわらかく微笑んだ。
「おはようございます、秀一さん」
「あぁ。おはよう、A」
眠れない夜は、共に過ごそう。
頭を撫でて、抱きしめて。
口付けて、また抱きしめて。
何度だって、繰り返そう。
君のその瞳が、閉じるまで。
そうして共に朝を迎えたのなら、
それはきっと最高の夜になる。
fin.
****************
ただひたすら、赤井さんに甘やかされたい。←
404人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぱぱんだ(プロフ) - grenouilleさん» いつもありがとうございます(*^^*)そうなんです、作品数が増えてきて自分でもわからなくなってきて(笑)ついにまとめました(*^^*)これからも可愛い夢主目指して頑張ります! (2018年5月17日 12時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
grenouille(プロフ) - ぱぱんださんの作品は大好きだから全部読んだと思っていたら、今朝、まとめてくださってたので、こちらを見つけられました!花・海シリーズも優男も本当に大好きです!ぱぱんださんの夢主はほんとにかわいいです!忙しいでしょうけど、今の作品も応援してます^ ^ (2018年5月17日 10時) (レス) id: 9364f4193b (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 笑顔の似合う少女。さん» 有り難いお言葉ありがとうございます!寂しいだなんて…!頑張ります!(笑) (2018年2月8日 18時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 湯葉さん» ファンだなんてありがとうございます…!そしてリクエストもありがとうございます。例の発信器ですね(笑)かしこまりました!ぜひ、書かせていただきます! (2018年2月8日 18時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
笑顔の似合う少女。(プロフ) - 番外編の続編も悪くないと思います!むしろ、このまま終わっちゃうのは、寂しいです(笑) 続編、作っていただけると嬉しいです! (2018年2月8日 18時) (レス) id: c8e9e68a05 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぱぱんだ | 作成日時:2017年11月11日 11時