【花】眠れない夜は。3 ページ12
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「…いつも、眠るのが怖くて…また、あの夢を見てしまうって…」
「……俺が、死ぬ夢だろうか」
「……………」
試しに思っていたことを言ってみれば、Aは黙りこくって。
辛抱強く返答を待っていれば、こくり、とAは小さく頷いた。
「…その夢の俺は、どんな風に死んでしまうんだ?」
「………朝の、ニュースで言ってたんです。黒のシボレーが来葉峠で爆発したって……それで、燃える車の中に…秀一さん、が…」
思い出してカタカタ震えるAの細い肩を、きつく抱きしめる。
「…何度も、秀一さんを呼ぶんですけど…届かなくて……必死に走っても、近寄れなくて…」
そうしていつも何も出来ないまま目覚めるのだ、とAは言った。
「…A、お前のその声が届かないのは当然だ」
「…え…?」
「それは、俺ではないのだから。…A、タネ明かしをしよう。これは死体すり替えトリックだ」
「……死体すり替えトリック…?」
「あぁ。俺が生きているとわかっても、どうやって生きていたかわからないから不安になるんだ。タネがわかればなんてことはない。初めから説明しよう」
事の詳細を話し始めれば、Aの震えはおさまり、真剣な表情で耳を傾けている。
「……そうして死んだと相手に思い込ませ、協力者の車に潜んで来葉峠を後にしたんだ。その後はさっき話した通り、有希子さんに変装術を教わって沖矢昴として生活していたんだ」
「…そう、だったんですか…何だか、すごい話で…未だに信じられません…」
「俺も驚いたよ。まさかここまであのボウヤの読みがあたるとはな」
「…コナンくん、すごいですね…」
Aはすっかり感心しきって、感嘆のため息をついた。
「だから、またその夢を見ても大丈夫だ。それは俺ではない」
「…はい…何だか漠然と感じていたものがはっきりして、気持ちが落ち着いたような気がします」
「それは良かった」
優しく頭を撫でて、額にそっと口付ければAは嬉しそうに微笑んで。
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ぱぱんだ(プロフ) - grenouilleさん» いつもありがとうございます(*^^*)そうなんです、作品数が増えてきて自分でもわからなくなってきて(笑)ついにまとめました(*^^*)これからも可愛い夢主目指して頑張ります! (2018年5月17日 12時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
grenouille(プロフ) - ぱぱんださんの作品は大好きだから全部読んだと思っていたら、今朝、まとめてくださってたので、こちらを見つけられました!花・海シリーズも優男も本当に大好きです!ぱぱんださんの夢主はほんとにかわいいです!忙しいでしょうけど、今の作品も応援してます^ ^ (2018年5月17日 10時) (レス) id: 9364f4193b (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 笑顔の似合う少女。さん» 有り難いお言葉ありがとうございます!寂しいだなんて…!頑張ります!(笑) (2018年2月8日 18時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぱんだ(プロフ) - 湯葉さん» ファンだなんてありがとうございます…!そしてリクエストもありがとうございます。例の発信器ですね(笑)かしこまりました!ぜひ、書かせていただきます! (2018年2月8日 18時) (レス) id: 0dfef02039 (このIDを非表示/違反報告)
笑顔の似合う少女。(プロフ) - 番外編の続編も悪くないと思います!むしろ、このまま終わっちゃうのは、寂しいです(笑) 続編、作っていただけると嬉しいです! (2018年2月8日 18時) (レス) id: c8e9e68a05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱぱんだ | 作成日時:2017年11月11日 11時