匂い 3 ページ10
「男。」
『…男?』
「うん、香水。」
『こ…?』
あっ、
男の香水の匂い?
……思い当たることがある。
明日は9月28日。
Rasさんの誕生日。
誕生日プレゼントに、と、
香水を渡そうと思い、態々人混みを通って
少しお高い香水店に買いに行ったんだ。
当然Rasさんは男の人なので、男用の香水。
どんな匂いだろうかと、手首や首に付けて試したんだ…。
…それかぁ……。
「誰。男。」
『いや、男じゃなくて…』
「じゃ、誰?」
『…』
明日渡そうと思ったけど…
これは言い逃れしたら更に厄介なことになる。
『…渡したい物が、あるの。』
「…?」
『だから、一旦、離して…』
離して…お願いだから……!!!
あわよくば部屋から出てって…!!
明日渡したい気持ちがある私は
そう、強く祈った。
「わかった。」
おや?案外言うこと聞いてくれs
「でも、逃げたら怒る。」
聞き分けのいいわんちゃんだ。
ここはやはり、怒らせないが吉。
Rasさんに従うしかないか…。
『わかってるよ、逃げないから。』
そう言うと、Rasさんは私の上から退く。
はだけた服を着ながら起き上がり、
プレゼントの入っているバッグへと向かう。
余程疑われているのか、後ろでピタッとくっついて着いてくる。
愛らしいことは変わらないけど、噛むのはさすがに痛いって…。
そう考えながら、バッグの中から
黄色いリボンで結んである、紺色の袋を取り出した。
後ろでピッタリくっついているRasさんに向き直って、持っている袋をRasさんに見せる。
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作者名:めぐ | 作成日時:2022年4月18日 23時