匂い 2 ページ9
?
え、くさい?
私今臭いって言われた?
く、え?!!
いやいや、お風呂入ったし、体臭には気をつけてるし…
え、でも臭いって言ったよねいま
『く、臭いなら退いてください…!』
臭いと言われ恥ずかしいし半泣きの私は
さっきよりも強い力で押すがビクともしない。
近くにいられるのが耐えられないので
目を瞑ったまま、早く退いて、と心の中で祈っていた。
「…誰。」
『…誰?』
誰?誰とは何だ……?
どういう意図…なんだ……?
「…匂い。」
『…匂い…?』
「…誰の匂い。」
誰の匂い…?
え、今日は誰とも会ってないし……
強いて言うなら人混みのあるとこに出かけたけど、誰かの匂い移ったのかな…
長考して黙っていると、段々Rasさんの顔が歪んでくる。
そして
『いたぁっ?!!!!』
首に鋭い痛みが走る。
ズキズキとした痛みと、
頬や首らへんにあたるフワフワの髪。
私の首元にあるRasさんの頭。
この痛みは
『か、え、Rasさん、噛んだ……?』
「噛んだ。」
やっぱり?!!
痛いよ?!!
『い、痛かったんですけど!なんですかぁ!』
「……」
Rasさんはまた、何も言わないまま
がぶりと私の首に噛み付く。
耳の少し下、筋、肩近く。
私の右側に移動して、服を少し脱がされる。
『えっ、ぁ、Rasさん、ちょっと』
肩が出たところで、Rasさんはそこに噛み付く。
それを繰り返して、はだけた服に、あちらこちらに噛み跡、痛みでうるうるとしてきた私の瞳。
他の人に見られたら、十中八九する寸前だと思われるはず。
ズキズキ痛む肩、きっと血が出ているだろう。
ぼやけた瞳では、自分の肩に赤いものがあることしか分からない。
そしてまたRasさんは血の出ているとこに近づく。
また噛まれると思って目を瞑って構える。
……が、痛みは来ない。
その代わりにぬるっとした感触がした。
「…ふぅ、めぐちゃん。」
やっと話したRasさんは、してやったというか、意地悪な顔をして言う。
「また、こんな匂いつけてきたら、これじゃ済まないよ。」
『ぅ……』
におい……匂い……。
………匂い?
『…なんのにおいですかぁ…』
今の私は狼に捕食されかけの兎のようだろう。
ふるふると縮こまっている兎。
なんの匂いか分からないので聞き返したら、
むっとされた。
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作者名:めぐ | 作成日時:2022年4月18日 23時