CRKR 短編夢小説 (ページ20)

今日:14 hit、昨日:21 hit、合計:77,261 hit

ホットミルク 3 ページ20

1時間前に出た家に着き、玄関で立ち止まる。
せっかくのデートなのにこれじゃ台無しだ。

自己嫌悪と苛立ちで、視界が滲む。
鼻も緩くなって、ｽﾞｽﾞｯ、と鼻をすする。

絶対に顔は見られないように、靴を脱ぎ、Sunday兄さんを置いて家に入る。

靴下を脱ぎ捨て、バッグも雑に床へ置く。

デート用に用意した可愛らしい服なんて気にも止めずにベッドにダイブ。

そのまま壁の方へ向く。

涙が出そうになるのを堪えて、シーツを掴む。

きっとSunday兄さんは帰っちゃったかもしれない。

こんな私に愛想尽かして別れられるかもしれない。

そう思うと不安でまた胸が痛くなる。

もう寝ようと目を閉じた時、玄関の方から物音がして、段々と足音が近づいてきた。

そして、それは寝ている私の後ろで止まった。
薄ら目を開けると、私のそばに黒い影が落ちている。

また物音がして、なんだと耳を澄まして聞いていると、そっと頭を撫でられた。

「めぐさん、怒ってますよね…。ごめんなさい。」

『…何に対して謝ってるの。』

「それは…」

Sunday兄さんの言葉が詰まる。
何も分からずに謝ったの？

『……。』

「めぐさんがいるのに、はっきり断らなかったこと、すぐに、めぐさんの体調悪いって、気づかなかったこと…」

わたしはびっくりして勢いよく振り返る。
Sunday兄さんの目を見つめる。

Sunday兄さんはおどおどしていて、行き場の無くなった手が右往左往している。

『…気づいてたの、体調悪かったの。』

「手繋いだ時、めぐさんいつもより冷たかった、それに、顔色悪かったよ。」

"だから、心配だった。"

その一言で私の目からは大粒の涙が零れ落ちた。

Sunday兄さんは何も悪くないのに、勝手に苛立って、勝手に八つ当たりして、Sunday兄さんに気持ちを踏みにじった。

最低すぎる、私。

急に泣き出した私にビックリしながら、Sunday兄さんはぎゅっと抱きしめてくれた。

「あぁ〜、泣かないで、ごめんなさい」

『ぅ、ちがっ、ちがうの、Sunday兄さんは、ゎわるく、悪くない…からっ！』

背中をぽんぽんと優しく叩いてくれるSunday兄さんに益々涙が溢れて来てしまう。

『う〜〜…ごめっ、ごめんねSunday兄さん、ごめんなさい……』

泣きじゃくる私に、泣かないでと頭を撫でてくれたり、背中をポンポンしてくれたり、色々な方法でSunday兄さんはあやしてくれた。

落ち着きを取り戻した私は、ぽつぽつと、自分の気持ちを語った。