I ページ11
合っちゃいけない。
顔を合わせては駄目。
逃げなくちゃ。
未だ見つかってないから。
今なら逃げられる。
この人は関わってはいけない。
駄目。駄目。
駄目。
頭の中では分かっているのに足が動かない。
男(いや少年というべきかもしれない)の纏う空気が重くて冷たくて足の先から氷り漬けにされている気分である。
そこで気がつく。
安吾さんは、
どこ？
そう思ったとき、男が話しかけてきた。
？「貴方が安吾のお嫁さんか。」
男がそう言いながらこちらを振り返る様子がやけにゆっくりに見えた。
男ではなく、私よりも若いその男の子は底冷えのするような瞳でこちらを見つめた。
心のずっと奥深くにとてつもなくどす黒い感情を隠している、いや、隠しきれない分がしみ出ているそんな暗い瞳だった。
？「安吾は？」
知らない。
そう答えたかった。でも答えることが出来ない。
のどの奥が張り付いてしまっている。
そんな感覚に陥ってしまって答えることが出来ない。
「・・・・・・・」
無言の私を見て彼はこういった。
？「これ、私の電話番号。安吾が帰ってきたら絶対に電話してね。」
そう言って、彼は自分で書いた連絡先の紙を私に握らせた。
その彼の顔は、悲しみと怒りと憎しみと少しの困惑で暗い影を作っていた。
その時の顔がこれから暫く私の頭の中で罪悪感と共に繰り返し現れるとは思ってもみなかった。
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卯月師走>>翡翠様 - コメントありがとうございます。プロフィールなかったので載せておきました。応援ありがとうございます。 (2018年6月3日 23時) (
レス) id: f45b803d55 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - えっと、これは主人公が安吾さんの奥様でよろしいですかね？面白い作品でした。これからも更新頑張ってください！ (2018年6月3日 16時) (レス) id: afd32b2f38 (このIDを非表示/違反報告)
卯月師走 - お読みくださりありがとうございました。宜しければコメントをお願いします。 (2017年12月31日 11時) (レス) id: af6d51fe9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：卯月 師走 | 作成日時：2017年12月26日 19時
