織姫と彦星 ページ2
「あなた達に織姫と彦星をやってもらう!いい案じゃない?」
「「え?」」
予想外の言葉に2人で顔を見合わせる。
もしかして銀ちゃんと、夫婦役ってこと?
え、無理無理、意識したらなんか気恥ずかしくなってきた。顔に熱が集まる感覚に思わず手で覆う。
「いいアルなぁ〜銀ちゃん?」
「銀さん!良いチャンスですよ!」
「だあああ!うるせぇ!!」
銀ちゃんは2人に何か言われて顔を赤らめている。
「じゃあ決定ね!」
「ええ!?」
依頼主さんにそう言われ、断る隙が無いまま次の話題へと移ってしまう。
結局、なあなあで女性は帰っていってしまった。
衣装は明日持ってくるわね!と息巻いていたから明日も来るのだろう。お菓子大丈夫かな。残ってるっけ?
不意にカレンダーを見る。
「あ、」
戸棚と向かいあっている私の背後から聞こえるトントントンというリズミカルな包丁の音が心地よい。
チラリと見て相変わらず料理が上手いなぁ、と感心する。
今日の晩御飯の担当は私と銀ちゃんで、いつも通りの2人きりの空間も少し気まずい。
何とか静寂を脱そうと口を開く。
「ぎ、銀ちゃん、私とふ、ふうふ役で大丈夫?」
うっわ、めちゃくちゃ噛んだ…動揺してるの丸出しで恥ずかしい
「……夢子となら」
いいけど、と小さく聞こえて振り向く。
「それってどういう……「いいから飯だ飯!!」
明らかに遮られたのが少し不服だが、銀色のクルクルな髪の間から見えた彼の耳が赤く染っていて、案外彼も意識してくれてるのかも、なんて。
「お腹空いたヨ〜!銀ちゃん、夢子!はやく晩御飯!」
そう言ってドタドタと元気よく帰ってきた神楽ちゃんと定春におかえりなさいと声を掛ける。
さっきまでの少し甘い空気が一転して暖かな家庭のものへと変わった。少しさっきを惜しみつつ、止まっていた手をすすめる。
「はぁ、うるせぇのが帰ってきやがった。」
そう言っている銀ちゃんの表情も柔らかい。
「銀さ〜ん、新八ただいま戻りました」
「おう」
暫くしてお客さん用の茶菓子を買いに行くついでに、今日万事屋に泊まる用の着替えを取りに行っていた新八くんも戻ってきた。
久しぶりの全員泊まりだから少し豪華めなのかオムライスが振る舞われた。
「夢子!ケチャップでうさぎかいてヨ!」
「はいはい、お嬢さま」
「キャッホー!」
「ちょ、神楽、暴れんな!!」
「神楽ちゃん、お登勢さんに怒られちゃうから!」
あぁ、やっぱり居心地が良いな、万事屋は。
不意に銀ちゃんと目が合って、2人して微笑んだ。
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作者名:みる | 作成日時:2021年7月12日 20時