王子様 ページ12
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『おはようございます
今日はありがとうございます。』
「おはよう、いいえ〜、楽しんでね。」
Aはマネージャーと挨拶を交わし、車に乗り込んだ。
車はヨシたちの宿舎へ向かう。
Aはいつもより早く起きて準備をしていたので、一度座ると眠気が襲ってきてしまいぼーっとしている。
しばらくすると車が止まり、後部座席の扉が開き、ヨシが乗り込んできた。
『王子様だ、、』
ヨシ「え？」
『え？』
ヨシの髪が、顔が、服装が、全てがかっこよく、Aの眼にはヨシが車に乗り込んでくる瞬間がスローモーションになって映った。
眠くて頭がぼーっとしていたのもあり、思っていたことが言葉としてヨシに伝わってしまい、Aは恥ずかしくなって耳を赤く染める。
『というか、なんでカメラ向けてるの？』
ヨシ「あれ、言ってなかったっけ？TMI LOG撮るって」
『聞いてない』
Aはヨシがカメラを自分に向けながら車に乗り込んできたことを不思議に思い尋ねると、遊ぶところをTMI LOGで撮ると言われた。
ただ遊ぶだけだと思っていたAは、カメラがあることに少し寂しそうだ。
『ふ〜ん、私がトゥメたちにかわいい姿見せちゃって、オッパのファン取っちゃっても知らないもんね〜』
ヨシ「どうしたの、急に笑」
拗ねたAは遠回しにお出かけ中に動画を回されるのが不満なことを伝えようとするが、ヨシには伝わらない。
マネージャーにも「ヨシ、鈍感はモテないよ」と言われたが、ヨシはキョトンとした表情を浮かべる。
Aは「まあヨシくんには伝わらないか」と諦めて、動画を撮ることを受け入れた。
ヨシ「まずは美術館に行きます」
『いえーい、どんどん、ぱふぱふ』
ヨシ「、、、皆さん、普段全員でいるときのAとのギャップに驚かないでください。2人でいるときは大体こんな感じです。」
『それもあるけど、久しぶりにヨシくんと出かけられるからテンション上がってるの。』
ヨシ「あ、本当？ありがとう」
Aは冷静な言葉を返されたことに不満そうな表情を浮かべるが、実際は、ヨシは上がった口角を隠すためにマフラーに顔を埋めていた。
そうこうしているうちに車は美術館に到着し、ヨシは先に車から降りた。Aが車を降りようとしていると、長く綺麗な手が差し伸べられる。
ヨシ「俺が王子様なら、お姫様はAだよ」
ヨシは優しく微笑んで言った。
後にメンバーからいじられることになるとも知らずに。
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作者名：ジュン | 作成日時：2022年12月30日 10時
