神様 8 ページ9
Aは、自分の部屋でガクガクと震えていた。
急に襲ってきた珍しい格好の大人2人。帽子の青年の人外の様な力。突如自分の後ろから出てきた和服の夜叉の様な物体。
あの後必死に逃げ帰っていく途中、噴水に向けランニングをする男性とすれ違った。Aは爆発が起きたから行っちゃダメと言い聞かせ、男性を帰らせた。もしAが居なかったら男性が被害に会っていただろう。変なところでまた不幸を回収してしまった。
1夜で色々な物を経験してしまったAは、3日間家から出ていなかった。一人暮らしなので誰も咎める者はいない。しかしそれは同時に誰にも相談出来ないということ。
そのせいでAは半分外出すること自体に恐怖を感じていた。恐らく、それが普通の人の反応なのだろう。Aは普通の人間だ。不幸になること以外は。
学校はあれから休み続けている。
しかし、流石に休みが重なってしまえば、出席日数が足りなくなり留年が決定する。ギリギリの出席日数を保ちたいAにとって、それだけは避けたい行為だ。
『……買い物…行かなきゃ』
取り敢えず今は外に出ることに慣れようと思ったAは、財布と携帯を持ち、恐る恐る外に出た。
―――Aは限界に近かった。
あれから3日間動かなったせいで不足しているものが多く、長く長く横浜内を奔走していた。その都度、またあの正体が分からない青年と女性が居るのではないかと思ってしまう。反射神経をいつもより敏感にさせていたAは、買い物の途中で体力の限界に気づいてしまった。
『あぁ……何処かで休みたい』
Aは安らげる場所を求めてフラフラと歩いた。今まで安らげる場所と言えばあの噴水公園だったので、それ以外の場所など全くもって知らなかった。勿論公園には行けない。トラウマが蘇ってしまう。行ったら確実に死亡フラグを回収してしまう。
どうしよう。
その時、ふと香った珈琲の良い香り。
Aがふと顔を上げる。
そこは、赤茶けた煉瓦で出来た五階建ての建造物だった。なんとなくだが何処か頑丈そうな建物だな、とAは思った。何故かは分からない。なんとなくだ。
その建造物の1階の看板には、「喫茶 うずまき」と書いてある。喫茶店だ、と思った途端、Aの腹の虫が凄まじい音を立てた。
『喫茶店…もういいや……疲れた入ろ…』
とにかく安らげる場と空腹を満たす物が欲しかったAは、その喫茶店に逃げ込む様な形で入っていった。
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彩りパスタ@しばらく読み専(プロフ) - 橙咲智歌さん» コメントありがとうございます!賢治くんには出会うのでしょうか、何処までが真実か分からない人ですからね・・・コメントでもボードでも仲良くして下さりありがとうございます! (2018年4月28日 12時) (レス) id: 1634f08530 (このIDを非表示/違反報告)
橙咲智歌(プロフ) - 読み終わって「はあぁぁぁぁ…」と感嘆の声を漏らしてしまいました!迚も世界観に引き込まれて面白かったです!夢主がラスボスだった事実…ひょえぇ…最後の最後にどんでん返しが来るとは思ってませんでした!イーハトーヴォ村…帰省した賢治くんとの遭遇フラグ…?← (2018年4月28日 10時) (レス) id: e71731f15b (このIDを非表示/違反報告)
彩りパスタ@しばらく読み専(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!ラストがお好みに添えていれば良いのですが・・・ (2018年4月27日 23時) (レス) id: 1634f08530 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです(≧∀≦)続きが、すごく気になります(≧∀≦)これからも、頑張って下さい(≧∀≦) (2018年3月31日 9時) (レス) id: 5050a4539b (このIDを非表示/違反報告)
すーしー。(プロフ) - 彩りパスタさん» いえいえ。イラスト楽しみにしています〜 (2018年3月9日 21時) (レス) id: 4e9f960f28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩りパスタ | 作成日時:2018年2月15日 19時