神様 20 ページ21
Aが意識を失って4時間が経った。
探偵社の会議室で、敦や太宰、そしてその他探偵社員が勢揃いしていた。乱歩だけが出張に向かっていてここには居ないが。
その時、医務室でAの手当てをしていた女医師――与謝野晶子が戻ってきた。
「与謝野先生!Aちゃんは?」と、敦は尋ねる。
「鉄パイプともなりゃ危険かとでも思ったけどねェ…なんとか頭の急所は免れてたみたいだよ。本当に奇跡としか言いようがないねェ…」
と、与謝野が怪しそうに眉を寄せた。
とりあえず無事とのことで、皆一同は安堵した。
でも、と青年――谷崎潤一郎は恭しそうに異議を唱えた。
「ポートマフィアも狙うともなれば相当な異能者なンでしょうかね?しかも幹部が動いてたんでしょう?向こうも本気なんじゃ…」
確かにそうだな、と国木田は谷崎の意見に賛同する。だが、その意見に敦が更に異議を唱える。
「ですが、あの子まだ女子高生ですし…そんなに危険な気も……」
「いや、あの子は非常に厄介な異能を持ってるよ」
と、太宰は強く言った。
太宰はこれまでのAとの会話で、何となくAの持ってる力を見定めていた。
「どういう事だ、太宰」
国木田が意見を急かす。太宰はまあまあと手を振った。
「彼女の異能は、周りの人の不幸を自分に肩代わりさせる力だ。確かにそれだけ聞くと、ただの不憫な女の子かも知れない」
一同はうんうんと頷く。太宰は続ける。
「制御も出来ないだろうし、あの子自身にとっては地獄の様な力だろう。けど、考えても見たまえ。"周りの人"にとっての不幸とは、計り知れないものだと思わないかい?」
敦は口を開く。
「じゃあ…それってつまり…」
そう。と太宰が人差し指をあげる。
「その他人自身にとっての不幸なる力も全て肩代わりしてしまう。例え一定時間でもね。
その不幸は、出来事でも人格でも趣味や特技でも、はたまた異能力でも、その人が過ごしてきた人生によって彼女の力は変わっていくのだよ。
云うならば、「自己犠牲型異能者」って所かな。
裏社会では異能力のせいで不本意に動いている奴もいる。下手すれば組織丸々潰せる。ポートマフィアにとっては喉から手が出るほどの人材だよ」
人の影響により自分の強さも変わる能力。
使いざまによってあらゆる力に対応できる異能。
決して強いとは言えないが、敵に回すと厄介なのは間違いない。
その時、失礼しますと、ナオミが入ってきた。
「Aさんが目覚めましたわ」
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彩りパスタ@しばらく読み専(プロフ) - 橙咲智歌さん» コメントありがとうございます!賢治くんには出会うのでしょうか、何処までが真実か分からない人ですからね・・・コメントでもボードでも仲良くして下さりありがとうございます! (2018年4月28日 12時) (レス) id: 1634f08530 (このIDを非表示/違反報告)
橙咲智歌(プロフ) - 読み終わって「はあぁぁぁぁ…」と感嘆の声を漏らしてしまいました!迚も世界観に引き込まれて面白かったです!夢主がラスボスだった事実…ひょえぇ…最後の最後にどんでん返しが来るとは思ってませんでした!イーハトーヴォ村…帰省した賢治くんとの遭遇フラグ…?← (2018年4月28日 10時) (レス) id: e71731f15b (このIDを非表示/違反報告)
彩りパスタ@しばらく読み専(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!ラストがお好みに添えていれば良いのですが・・・ (2018年4月27日 23時) (レス) id: 1634f08530 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです(≧∀≦)続きが、すごく気になります(≧∀≦)これからも、頑張って下さい(≧∀≦) (2018年3月31日 9時) (レス) id: 5050a4539b (このIDを非表示/違反報告)
すーしー。(プロフ) - 彩りパスタさん» いえいえ。イラスト楽しみにしています〜 (2018年3月9日 21時) (レス) id: 4e9f960f28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩りパスタ | 作成日時:2018年2月15日 19時